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慧音1 1スレ目 23 慧音に 「慧音さま一人に苦労はさせたくないんですよ・・・」 1スレ目 27-28 慧音「わ………私の思いの丈を……受け取ってくれるか?」 1.ケツまくって逃げ出す →2.観念して尻を差し出す 3.必死に説得する 27 ああ、それで問題ない・・・ というかぶつける相手に俺を選んでくれるのは嬉しいな(w ツノかわいい。 1スレ目 157 満月の夜。僕は竹林へ踏み入った。 妖怪達が力を増す夜。その道中はけして楽なものではない。 だがもう少し。もう少し進めば… 「待っていたぞ。満月の夜にやってくるとはいい度胸…」 「満月の夜だから来たんだ。今のあなたは満月の夜にしか存在しない」 僕の言葉に彼女―――上白沢慧音は一瞬戸惑ったようだが、いつものように言葉を続けた。 「あの人間には指一本…」 「あの人間なんか関係ない。僕はあなたに会いに来たんだ」 「なっ…」 彼女が言葉を発する前に、僕は言っていた。 「あなたが好きです」 言うことはそれだけの筈だった。だが、僕の口からはさらに言葉が溢れ出た。 「今日をずっと待っていた。あなたと会える満月の夜を。今のあなたに、この気持ちを伝えたかったから…」 僕の言葉を、今度は彼女が遮った。 「なんで今の私なんだ!今の私なんか怖いし…気持ち悪いし…」 僕は何も言わず彼女を抱き締めた。彼女の身体は獣。だがそれは人間のそれよりずっと、ずっと…弱い。 「なんで…なん…」 僕は彼女を包み込む腕に力を入れた。そして彼女は、僕の背中を思いきり掴んだ。 胸元が湿ってくるのを感じた。僕はそっと、彼女の頭から生えているそれに口付けた。 とある満月の夜。僕はもう彼女を離さないと誓った。 とある満月の夜。彼女はもう僕から離れないと誓った。 それは能力も何も使わずに創られた「歴史」だった。 1スレ目 369 けーね、君に出会った事がこんなにも僕の心を悩ませる。 愛ってつらいものだったんだね、けーね 「じゃぁ、であった事をなかった事にしておきますね♪」(←すごいいい笑顔) 1スレ目 568 「けーね、これから俺と一緒に2人の歴史を共に刻んで 行 か な い か ?」 1スレ目 717 自分が信じた人間が人間で無い 。 それは最悪の形の 『裏切り』 「暑いなぁ・・・まだ春だっていうのに」 季節は春、なのにこんなに暑っくっちゃやる気が失せる。 ここは幻想郷唯一の人里、なんで妖怪が犇く幻想郷に人里があるかっていうと。 「そんなこと言ってもやらなければ終わらないぞ?」 この上白沢慧音様のおかげであったりする。青い服に銀と青の髪、それにちょっと風変わりな帽子。 いつも俺達を妖怪から守ってくれる凄く強くてさらに良い人だ。 「それもそうなんですがこう暑いとだるくてだるくて・・・」 なんでこんなに暑い日に畑を耕さなければいけなのか。そりゃ生きるためだろうとは思うけどさ。 「だるくてもやるものだこういうものは」 厳しいなぁ・・・まぁそれも俺達を思ってのことだとは、思うけどさ。 「わりましたよ、っと」 俺が適当に答えると慧音様は苦笑しながら。 「本当にわかってるのか?」 わかってるさ、とりあえずはだけど。 @ 「ふぃ~やっと終わった」 疲れた。しかも朝方からやったせいでやっと日が昇ったくらいだ。 「お、終わったか。ほれ、差し入れだ」 そう言って投げてきたものを受け取ってみてみると、煎餅。 …水をくれ水を。 でも嫌な表情を出すのも悪いか 「ん、どーも」 とりあえず食べておこう、煎餅を食べると醤油の味が広がる。うんやっぱり煎餅は醤油だな。 「けーね先生!あーそーぼ!」 子供が数名慧音様を呼んだ、やっぱり子供は元気に限るな。昔の俺もあんなんだったな、今思うと少し恥ずかしいが。 「すまない、子供達が呼んでいるみたいだし、私は行くよ」 「気にする事ありませんって」 いちいち気にしなくても良いのになぁ。まぁそこが良いのだけど。 さて、やる事やったし練習しますかな。最近は慧音様だけに守らせるのも、ってことで里の人々も武術を学び始めたんだ。 俺は弓を使っているが最初は全然当たらなかったし届きもしなかったが五ヶ月もやっていると流石に当たるようになってきた。 「今回は・・・50mからにするか」 まだ一度もあたったことの無い距離だ、これぐらいは当てておかないと妖怪退治は到底無理だ。 慧音様は素質はあるとは言ってたけど・・・。 50mほど離れた後弓を引き絞る、狙いを定めた後、放つ。 矢が放物線を描いて50m先の的を狙って飛んでいく。が、あと数ミリのところで外れた。 この数ミリの差が凄いんだよなぁ、当たると思っても当たらないし。 もう一度弓を引き絞り狙いを定める、前より少し修正して放つ。 今度は当たるか・・・? カッ!! 木に当たる良い音がした、どうやら当たったみたいだ。 パチパチパチパチェ 後方から拍手が聞こえたので振り返ってみると、遊んでいたはずの慧音様が居た。 「結構うまくなったじゃないか、けどもう少し姿勢を直した方が良いぞ」 姿勢か、あんまり気にしてなかったから悪くなったかもしれない。 「それよりも、子供達と遊んでいたんじゃなかったんですか?」 「ん?ああ、お昼ごはんとか言って帰って行ったよ。やはり子供は元気が一番だ」 そういえばもう昼か、そんな事を考えたら腹が減ってきた。 「んじゃ、飯にしますかな」 そう言って懐を漁っておにぎりを三個とお茶を取り出す。中身は全部梅だ。 「まったく、家に帰ってちゃんとしたのを作ったらどうだ?」 慧音様が呆れ顔で言ってくる、良いじゃん別に死にはしないさ。逆に作ったら死ぬかもしれないし。 「とりあえずは代用ですよ、料理作れないし」 そう言いながらお茶を啜る。 「なんなら私が作るか?」 「ブフゥッ!!」 思わず飲んでいた茶を吹いてしまった。この程度の水じゃ虹は出ないけど。 「ゴホッ、ゴホッ!作るって別にゴホッ!いいですゴホッ」 ついでに咽たため何言ってるかわからない状況だ、それでもちゃんと翻訳してくれるけど。 「まぁ気にするなって」 気にする、もしそんな事が知人にばれたら殺されるって、絶対。 「いえ、いいですから本当に」 「そうか?ならばいいんだが・・・」 慧音様の料理は確かに一度は食べてみたいものだが、今は自分の命の方が大切である。 とりあえず練習再開しないと。 「それじゃああんまり無理するなよ?」 そう言って慧音様は去っていった。 あと十発は打ち込もう、そう考えていた。 @@ すっかり遅くなってしまった。っていうかもう夜だよ、真っ暗じゃん。それに今日は満月だし・・・早くしよう。 十発とは考えていたけどあんまり当たらなかったせいで何百発打ち込んだ事か・・・。 家へ向かって走っていると、訳のわからないところに着いた。どうやら迷ってしまったようだ、二十年近く暮らしてきた里なのに。 どうやって帰ろうか、そんな事を考えていると暗くてよく見えないが目の前に後ろ向きの慧音様が見えた。丁度良いから道でも聞こう。 「おーい、慧音・・・さ、ま?」 そこに見えたのは姿形は慧音様だが服の色は緑になり、普段被っている帽子が無く、代わりにツノらしきものと尻尾が見えた 人間、つまりは・・・獣。 「なっ!お、お前!どうしてここに!?」 振り向いた慧音様が驚いてこっちに言ってきた。慧音様はこんな姿ではない・・・偽者か! 「誰だ貴様は・・・!」 俺は声を低くして聞いた。 「私だ!上白沢慧音だ!」 「嘘をつくなバケモノ!!」 慧音様はこんな姿ではない!こいつは偽者だ!絶対に! 「そうだな、今の私はバケモノだろう。でもお前の事は覚えている、子供の頃に井戸に落ちた事があってそれ以来井戸に近づかなくなった とか、いろんなことをな」 「どう、して。どうしてそんな事を知っているんだ!お前は、お前は慧音様の偽者なのに!」 たしかに、昔井戸に落ちた事があってそれ以来トラウマになっていた事は事実だ。なのになんでこのバケモノは知っている!? 「私は偽者ではない!!慧音だ!!本当だ、わかってくれ!」 解っている、心のどこかでは本人だと解っているのだが、今まで尊敬していた人物が妖怪だったなんて認められない、信じられない。 だから、だからこいつは偽者なんだ! 「うるさい!貴様のような偽者が、バケモノが、慧音様の姿を真似ることなんて俺は、許さない!!」 「くっ・・・!」 俺は即座に後ろに持っていた弓と矢を構えた。こんな奴、俺が退治してやる。 「覚悟しろよ・・・!慧音様に化けた代償は大きいぞ・・・」 「・・・その弓か、お前もだいぶ上手くなった。子供の頃に妖怪を退治するんだって言ってた頃が懐かしいな。 まさか、こんな形で使われようとは思わなかったよ。○○」 その瞬間頭の中にあった記憶が走馬燈のように甦ってきた。 子供の頃に一緒に遊んだ慧音様、大きくなったと言ってくれた事がうれしかった。 それから弓を習って上手くなったと言ってくれた慧音様、あの時は家で喜んだ。 妖怪が来た時に助けてくれた慧音様。たまに家に来て様子を見に来る慧音様。仕事の時に手伝ってくれた慧音様。 笑っていた慧音様。慧音様、慧音様、慧音様慧音様慧音様慧音サマ慧ネサマケイネサマケイネサマケイネサマケ イネサマケイネサマケイネサマケイネサマケイネサマケイネサマ。 様々な出来事にはほとんど慧音様が居た、それが今敵として目の前に居る。 いや違う。こいつは偽者だ!偽者なんだ!!化け物が化けた偽者なんだ!!! 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 懇親の力を込めて弓を引き絞る、もう何も考えられない。勝手に涙が出てくるがお構いなしに狙いを定める。 「!」 いきなり何者かに強く押された気がした、いや押された慧音様に。 吹き飛ばされて尻餅をつく、そのあと俺が居たところに大量の弾が降り注いだ。 「あーあ、なんで助けるのよ。もう少しで食べられると思ったのに」 「そんな事はさせない、あの人間には指一本触れさせるものか!」 空中で妖怪二人が生死を賭けた勝負が始まった。それなのに俺は腰が抜けてまともに動けない。 「残念だけど一人じゃないのよ、早く逃げれば助かったのかも知れなけど」 後ろから声がかけられてとっさに振り向くと、女が立っていた。しかしコレも妖怪か。 「そう、私は妖怪。妖怪は人間を食べるの、だから死んでもらうわ。家に帰ってから食べるし」 そう言って腕を振り上げた。逃げたいが足がすくんで動けない、俺は・・・死ぬのか。 ザシュッ! あれ?痛くない。目を開けてみると目の前には緑の服を着た・・・妖怪。どうやら俺をかばったみたいだ。 「あら、また邪魔されちゃった」 「どうしてかば、ったんだ・・・?」 「それ、はな。私は人、間が好きだ、からさ」 「人間が好き・・・?」 慧音様なのか、やっぱりそうなのか。解っていたのだけど信じられなかった。それでも、これは慧音様なんだな。 「まったく!人間を守る妖怪なんて酔狂な奴も居たものね!前から知ってたけど!」 「くっ!」 そう言ってもう一度腕を振り上げた、狙いは慧音様。拙い!俺はとっさに弓を構え、矢を放った。 「っ!この人間が!狙うなら目の前の妖怪を狙いなさいよ!緑の服の方!」 腕に当てられた妖怪が叫んだ。そう言うと思った、もうすでに答えは用意してあるさ。 「妖怪だろうと人間だろうと!慧音様は慧音様だ!だから貴様を倒す!」 「はっ!この妖怪と同様にお前も変わった人間だね!さっさと死になさい!」 「死ぬのは・・・お前だよ」 @@@ 結局最後の最後で慧音様が妖怪を退治してくれたわけ。にしても、なんで妖怪になったんだ? 「ああ、私は半獣だ。満月になるとハクタクという歴史食いになる」 一通り落ち着いた後に慧音様はこう言った。ああ半獣かぁ、なんとなく解った。 「このことで、私を嫌いにならないか?」 「嫌いになんかなる訳無いじゃないですか。それよりも、あなたに伝えたい事があります」 子供の頃から思い描いていた思い。今こそ言うべきだ。 「俺は、貴女が好きです。幻想郷のどの人間の中でも」 「私は半獣だっt」 何かを言おうとした慧音様の口を俺の口で塞いだ。 「お答えは?」 「ん、そうだなどちらでもないでは、駄目か?」 「駄目ですね、可か否でお願いします」 「じゃあ、今度からお前の昼ご飯でも作ってやる事にするか」 「それは可・・ですか?」 「いや、それは保留だ」 そう言って慧音様は少し笑った。 @@@@ 「貴様!昨夜慧音様と口付けしたってのは本当か!?」 「してないしてない!絶対してないってば!」 まったく何処から漏れたんだが・・・。 「嘘付くなぁ!貴様なんぞまた井戸に落としてくれるわ!」 それは勘弁して欲しい、井戸はトラウマだってのに。 「おーい!持ってきたぞー!」 一通りの鬼ごっこした後に慧音様が弁当を持ってきてくれた。 「あ、どうも」 「何っ!?貴様よこせー!」 「嫌だ、もし欲しかったらお前も頼めばいい」 俺は頼んではないがな。 今のところは可か否かは決まってはいないらしいがそのうち決まる事になるだろう、俺が死ぬ前には。 慧音様と目線が合うと慧音様は軽く微笑んだ。つられて俺も笑ってしまった。 里は今日も平穏だ。 2スレ目 15 「ここはどこだぁーーー!?」 気がついたら見知らぬ竹林に立っていた、思わず叫ぶ俺。 しかし何の反応も返ってこない。 空を見上げる、満月が輝いていた。 「困ったなぁ…」 ここに立っていても反応が無い事を確認すると、当ても無く歩き出した。 30分ほど歩いた、何も無い。 1時間ほど歩いた、何も無い 「勘弁してくれよ、もしかして遭難ってやつですか…」 愚痴りながら歩いても歩いても見渡すは竹ばかり、このまま野垂れ死にするんじゃないかと想像して怖くなった。 疲労した体に鞭を打ち、歩きつづけた。 そうして1時間52分ほど歩いた所で何かに出くわした。 『あれっ!?』 俺の声と何かの声が重なる。 日本語だ、ママ日本語だよ!と心の中で叫びながら、確認しないまま声の主に駆け寄ってしまう。 「ここはど「あの人間には指一本触れさせん!!」 声の質がやばい事に気づいたが、確認したときには時すでに遅し。 ピチューン 体中に衝撃が走る、薄れてゆく意識の中で声の正体を見た。 長い髪の小女だった、頭には角が生えていたが… その姿を見て、何故か1000万パワーの悪魔超人を思い出した。 「ゆ○先生、彼は何故…ヅラだったんですか…」 そこを境に意識は無くなった。 目を覚ましたときは布団に寝ていた。 思わず上半身を起こし、辺りを見まわす。 昔の日本家屋みたいな感じだった。 「よかった、目が覚めたか」 後ろから声が掛かる、振り向くと救助してくれたらしい少女がいた。 「あれっ、悪魔超人は?」 「なんだそれ?お前が竹林で倒れていたのを見つけてな、ここまで運んだ訳だ」 目の前の少女は名前を上白沢慧音といい、見つけた経緯を話してくれた。 「何でまたあんなところに居たんだ?」 「実は…」 俺も自分の分かる範囲の事を説明した。 「大変だったな、しばらくはここで休んでいると良い」 俺は慧音の行為に甘えることにした、疲れていたし、休みたかった。 その日の夜、布団にもぐりながら考え事をしていると… 布団に何かが入り込んできた、確認しようとすると。 「こっちを向くな、そのまま寝てろ」 「ちょっとなんでこっちに??」 もぐりこんで来た何かは慧音だった。 戸惑いを覚えたが、内心では慧音キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!だった。 可愛い子が一緒に寝てくれる事で、頭の中でファンファーレが鳴り響いた。 「布団が一組しかないんだ、しょうがないだろう…まったく…」 何か愚痴っていたが、全然聞こえていなかった。 良い髪の匂いだなぁとか暖かいなぁ、そんなことしか考えていなかった。 それから3ヶ月 慧音の手伝いをしながら過ごしていた。 ある日、子供たちと遊んでいるときに質問が来た。 「けいねせんせーとおにいちゃんてこいびとなの?」 休憩していた慧音は茶を吹いた。 「ゴホッゴホッ、からかうんじゃない、○○はただの居候だ」 「えーー、でもけいねせんせーうれしそうだよ」 「そうそう、おにいちゃんきてからうきうきだよ」 慧音が赤面しながら弁解している、必死な姿も良いなぁ。 そんなこと思っていると。 「おにいちゃんはどうなの?けいねせんせーのことすき?」 油断も隙もありやしない…こうなったら覚悟を決めるしかない。 「俺は慧音のことが大好きだ!」 3ヶ月前に出会ってから、今現在に至る思い出を込めて叫んだ。 助けられた時のこと、一緒に飯食ったこと、一緒に笑ったりしたこと。 自分の中で慧音の存在が大きくなっていること、自分の気持ちを込めて叫んだ。 「俺は慧音のことが大好きだぁーー!」 その叫びは村全体に聞こえたらしく、俺と慧音は散々茶化されてしまった。 そのせいか、帰りはすっかり夜になったしまった、満月が綺麗だった。 慧音に竹林に寄って行こうと言われ、ついて行った。 「3ヶ月前ここで倒れていたお前を見つけたのが、始まりだったな」 背中を向け、寂しそうに帽子を取る。 「あの時は本当に助かったよ…しかしあの角は…」 本当は気付いていた、角の生えた慧音が俺をノックダウンしていたこと。 「やっぱり分かっていたか、本当に知られたくなかった…」 慧音の頭に角が生えてくる、そして威圧感が辺りに撒き散らされる。 「悪いな、可愛い子の顔は覚えてるんだ」 威圧感に負けないように軽口をたたく、みっともないことに足が震えている。 「さぁ分かっただろう、私は化け物だ!どこかへ消えてくれ!」 こちらへ振り向き弾幕を放つ、狙いは全然合っていない。 「断る!」 震える足を前に出す、一歩一歩前進する。 弾幕が体を掠る、狙いが定まっていないとはいえ、ばら撒けば十分脅威だ。 「来ないでくれ、頼むから来ないでくれ!」 弾幕の量が増える、怖い…怖い…怖い。 ここから逃げ出せればどんなに楽なことか、でも出来ない。 ひたすら前進した。 弾が体を捉える。1発、2発、3発… 痛みが体に走る、だけど前進を止めない。 「お願いだから倒れてくれ!もう止めてくれ!」 慧音が叫ぶ、放たれた弾幕が止む。 「まだ倒れない!止められない!」 意識が飛びそうになるのを防ぐため、気合を入れる 全身が悲鳴を上げるなか、何とか慧音の目前に立つ。 「あっ…」 震える慧音の両肩を掴み、顔を見つめる。 泣いていた、子供が拒否されるのが怖くて泣いているようだった。 「俺は慧音が大好きだ!角が生えてようが生えてなかろうが大好きだ!慧音が大好きだ!」 最後の力でそれを伝えると、意識が消えていった。 「○○!しっかりしろ○○!」 なんか俺を呼んでるようだけど、眠りたかった… 目を覚ます、体の節々が痛む。 我ながら無茶をしたなぁと思いつつ辺りを見まわし、慧音の姿があるか確認した。 視界には姿は無かった。 「駄目だったか…肝心な時はいつもそうだ、情けない…」 大きいため息を付く。 「目が覚めたか○○、本当に困ったやつだよ」 求める姿を確認し、心臓が跳ね上がる。 「慧音、お前…」 「あれから私も考えたんだが、これが答えだ」 唇に柔らかいものが当たる、慧音がキスしたと気付くには時間が掛かった。 「これからは2人の歴史で満漢全席だ!」 赤い顔で慧音が微笑む、俺もつられて微笑む。 その日の夜、縁側で月を見上げながら考えていた。 「何を考えているんだ?」 隣でお茶を飲んでいた慧音が不思議そうな顔で俺を見る。 「まぁ色々な…幸せを実感している」 上手く説明できないが、嬉しい気分だけを伝える。 「そうか、私もだ…だが本当にいいのか?私なんかで…」 不安そうな表情でこちらを見る慧音。 「その話はもう止め!俺は慧音を選んだ、慧音は俺を選んだ。だから問題は無い!」 自分の意見をハッキリさせるのが上策だと感じたので聞かせる、言葉を聞いた慧音はハッとした顔で。 「そうだな、宜しく頼む旦那様」 そう言って背中に抱きついてきた、背中に当たる柔らかい感触にドキドキしながら、 照れ隠しに頭をかく。 「私だってドキドキしているぞ」 ばれていましたよ、多分赤面しているんだろうな俺、 思わず降参のポーズを取る。 「分かってたか、まったく…かなわないなぁ」 振り返り慧音を見つめる。 「幸せだな」 「私も幸せだ」 こうして幻想郷の1日は過ぎていく。 まぁ多分幸せにやっていけるだろう、そんな気がする。 なぜなら隣に素敵な人がいるから。 ******************** 後書き 一緒の布団で寝るのはマイジャスティス! 読んでいただき誠に有難うございます。 私の脳内ではなぜか、けーね=ツンデレの方程式が成り立っています。 溢れるドリームをイメージするのは良いんですが、言葉にすると難しいですね。 妹紅を出そうと思っていましたが、長くなるのでカット。 次も書くことが有ったら宜しくお願いします。 プロポスレ全てのビューティフルドリーマーに送る 2スレ目 107 ドゴッ!バキッ!ドガッ! 僕の繰り出した攻撃を食らって妖怪が吹っ飛んでいく。 …よし、次だ! 「キシャァァァァァ!」 「お前らぁ、絶対に里へは行かせないからな!」 僕はとある里の外れに一人暮らしで住んでいる。 正確に言えば、里からは少し外れている。 …そして、少し高台にあるので妖怪の襲撃が一目でわかる。 そして…慧音の家の隣である。 「○○、お前は見込みがあるんだから私を手伝わないか?…まぁ、お前は人間だからやめておいた方がいいか…」 ある日慧音が言ったこの台詞、それが僕を奮い立たせた。 毎日10時間の猛特訓、それを半年毎日欠かさず続けた甲斐あって僕は本当に慧音の手伝いをするようになった。 「フッ…まさか本当に私のこの仕事を手伝ってくれるとはな…お前はいい根性してるよ…」 「フフフ…人間の努力を甘く見てはダメだぜ…」 その日からは結構大変だった。 どうやらこの里は妖怪たちに完全に狙い目にされているようで毎日のごとく妖怪たちが襲ってきた。 だが、今までその妖怪たちを一人で追い払っている慧音とここ半年の間にスペルカードを使えるようになるまでの成長を見せた僕とのタッグの前に妖怪たちは成す術もなく退治されていった。 が…最近になって少し様子が変わってきた。 妖怪たちが前よりも数の多い群れで来るようになり、しかも僕だけを執拗に狙うようになったのである。 いくらスペルカードが使えるからといって僕は人間、慧音の様に強くはない。 そして、慧音もそのことを知ってか、いつしか僕をカバーしながら闘う様になってしまった。 「くっ…まだ…まだ僕は鍛錬が足りないのか…」 「いや、お前は良くやってるよ。私だって正直驚いているんだから」 「だったら、僕をカバーしながら闘うのはやめた方がいいぞ。慧音だって半獣だけど限界はある。そんな闘いかたをしてるといつか死ぬぞ」 「フッ…考えておこう…」 そういったものの、やはり慧音は僕をカバーし続けた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「くっ…また多いな…今回も…」 「大丈夫だ、私とお前なら十分に倒せる。」 今回もやはり妖怪たちは僕を重点的に狙ってきた。 そして慧音も僕をカバーしつつ闘っていた。 しかし、最悪の事態が起きてしまう… 「痛ッ!!」 「○○!大丈夫か!」 妖怪の放った斬撃が僕の腕を掠めた。 しかしこれくらいならまだ闘える。 「大丈夫だ!心配な…!慧音!危ない!」 僕が見たもの、それは慧音の後ろで妖怪が爪を大上段に上げている瞬間だった。 そして…鮮血が舞い散った… 「ぐあっ!」 「慧音!!」 周りにいる妖怪を蹴散らしつつ僕は慧音のそばに駆け寄った。 「大丈夫か!?」 「クッ…うああ…」 まさか…これは毒!? 一刻も早く解毒しないと… 「…くそっ!とにかくこいつらを追い払わないと!食らえ!裏百八符"大蛇薙"!」 僕のはなった炎により何とか妖怪たちを撤退させることに成功した。 しかし、依然慧音は毒にうなされている。 僕は自分の家に戻り解毒剤を投与した。 「…慧音…僕のせいで…」 「フン…私がやられるなんて…ヤキが回ったかな…」 …慧音は…僕をかばったせいでやられてしまったんだ… クッ…自分の非力さを…憾みたい… ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 慧音は今は静かに眠っている。 解毒剤の鎮静効果が効いているみたいだ。 僕は気分転換に外に出た。 「ふぅ…ん!?」 なんと昨日の妖怪たちがまた襲撃に来ているではないか。 「嘘だろ…クソッ、止めなくては!」 僕は妖怪たちの元へ走っていった。 「ケーケッケッケッ、何だ今日はお前一人か!」 「ああ、だがお前らを里に行かせるわけにはいかない!」 「フン…あの半獣さえ居なければ突破するのは簡単だ!お前を血祭りの第一号にしてやる!」 「どっちが血祭りになるか、試してみるか!?」 そして、死闘が始まった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「クッ…」 「ヒャーハハハ!もう限界か?」 なんとか後二匹まで減らすことは出来たが、僕自身、もう限界だ… 満身創痍でスペルカードももう1枚しか残っていない。 「フン…やはり人間は弱いな!」 「クソッ…こんなところで終われるかよ…」 まだ、自分の想いを伝えていないのに… 「行くぞ!」 「くっ!させるか!食らえ!」 炎を纏った渾身の右ストレートが妖怪にクリーンヒットする。 「ぐああああ!」 その妖怪は炎に包まれて消えた… 後一匹だ、そう思った直後だった。 ザクッ!ドシュ! 気がつくと腹から何かが生えていた。 否…それは、後ろに居た妖怪の腕だった。 背中から体を爪で刺し抜かれていた 「ヒャーハハハ!油断大敵って言葉知ってるか人間!」 「ぐあっ…がはっ…」 その腕が引き抜かれて、鮮血が飛び散った。 僕は吐血しその場に倒れ伏した。 まずい…内臓をやられたっぽい… 「ヒャーハハハ!終わりだな人間!お前の里はこれから俺がいい餌場として使わせてもらうぜ!」 「……」 …僕は、死ぬのか? いやだ!こんなところで死にたくはない! まだ…まだこの想いを伝えていないのに! くそっ!僕の体よ!動け…動けよ…動いてくれよぉぉぉ! 「うあああああああああああああああああ!」 「ヒャッハッハ!まだ生きてやがったのか人間!今度こそ死ね!」 妖怪が僕に向かって突っ込んでくる。 僕はポケットからスペルカードを取り出して… 「最終決戦奥義"三神技ノ壱"!」 「なにっ!ギャアアアアアア!」 最後の妖怪も炎に包まれて…消えた。 「はぁ・・・はぁ・・・勝っ・・・た」 その言葉を最後に僕の意識は遠のいていった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 気がついたら僕は自宅の布団で寝ていた。 「う・・・」 「気がついたか、ったく・・・無茶をしすぎだぞ。」 そうか…慧音が僕を運んでくれたのか… 「慧音…」 「喋るな。まだ峠は越えていない。お前は生死の境を彷徨っているんだからな。」 いや、僕にはわかる。 この体が…命が…最期を迎えようとしていることが… 多分…慧音もうすうす感づいてるんじゃないか? 「フン…やれやれ…妖怪と戦って里を守ってあの世へ逝くのか…僕の人生としては…上出来かな…」 「何を言ってるんだ。早く元気になってくれよ。また妖怪が来るかもしれないんだから…」 「…慧音…分かってるんだろ…僕は…もうダメだって事ぐらい…」 「…くそっ!何で・・・何でお前が死ななくてはならないんだ!」 慧音が涙を流している。 …初めて見たな…まあ、冥土の土産には充分すぎる… 「…いや、慧音…僕は結構満足してるんだぜ…慧音の大好きな里を、人間を、…そして慧音自身を守れたし…それに…この想いを伝えることが出来るんだし…」 「…何?お前は…どんな想いを伝えたいんだ?」 僕は慧音に向かって人生の中で誰にも見せたことのないぐらいの満面の笑顔で言った。 「僕は、慧音が…貴女が好きってことさ…」 「な…」 慧音が真っ赤になった。フフフ…可愛いなぁ 「心残りなのは…貴女を…抱きしめられずに…逝くことだな…」 「…フッ…心残りなんて…させるものか」 慧音が布団の中に入ってきて僕を抱きしめる …ああ、慧音って…こんなに温かいんだ… 「ありがとう…慧音って温かいな…」 「…○○、私も…私もお前のことがずっと好きだった」 「フッ…今の僕ほど…この世で幸せに逝ける人間は…居ないだろうな…」 「○○ッ!」 こうして…幻想郷で一番幸せな恋が…暁に散った… ~~~~チラシの裏~~~~ なんつうか、メチャクチャ文が変だ…orz ~~~~ここまでチラシの裏~~~~ 75さん、とりあえず…すみませんでした…orz 2スレ目 184 「慧音さん!!!」 「おお○○か。どうした、こんな夜中に。」 「実は・・俺・・・」 --- けーねおねーちゃんはやさしい このまえ、ぼくがころんでないてたときも やさしくなぐさめてくれた 「○○、お前は男の子なんだからもっと強くならなければだめだぞ」 って ぼくはつよくなりたい つよくなってけーねおねーちゃんをまもるのがゆめなんだ だってぼくはけーねおねーちゃんがだいすきだから --- 慧音お姉ちゃんは強い 長老から聞いた。 慧音お姉ちゃんは僕達を妖怪から守ってくれてるんだって。 僕だって武術を習ってるけど、絶対かなわないよ。 お姉ちゃんは優しいだけじゃなくて強いんだね。 --- 慧音さんは人間じゃない 妖怪と対等に渡り合えるなんておかしいと思っていたが、 慧音さんは本当は人間ではなく、半獣(ワーハクタク)らしい。 なるほど、それなら、 村人が妙に彼女を恐れているのも、 彼女が村の外れに住んでいるのも、 満月の夜に姿を現さないのも、 全て納得できる。 でも、 よく考えてみれば、彼女は人間とそう変わらないんだ。 だって、満月の日以外は普通の人間じゃないか。 みんなどうして「大好きなお姉ちゃん」から、 「忌み嫌うべき妖怪」と見方を変えるんだろう。 俺みたいに普通に接することが出来ないのか。 満月近くの思いつめた彼女の表情。 十六夜の晴れ晴れとした表情。 それを見れば、彼女を悪く言う事など出来ないだろう。 …実際のところ、俺はすっかり魅せられてしまった。 小さい頃から好きだったが、 今の「好き」はどうも違うみたいだ。 これが「恋」と言うものなんだろうか・・・。 今日は十六夜。 行こうか。 …彼女のところへ・・・ --- 「俺は慧音さんのことが好きなんだ。」 「私も好きだぞ・・・特にお前は小さい頃から見てるしな」 「・・・違うんだ。その『好き』じゃない。」 「??」 「愛してる!!!俺と一緒にいてくれ!」 「・・・!!・・・・あ・・・・ええと・・・」 慧音さんは顔まで真っ赤にしている。 俺は軽く口付けをすると、 彼女を優しく抱きしめた。 3スレ目 132 むしろ慧音に毎日料理を作ってやりたい。 「今日も来てくれたのか。まったく………そんなにしてもらうほど、私は偉いものではないんだぞ」 なんて言って赤面している様子を見てみたい。 3スレ目 450 慧音様 あなたの想いも、 あなたの傷も、 あなたの心も、 あなたの在り方さえも、 全部ひっくるめて俺が支えます。 だから、もう、一人で何もかもを背負いこもうとしないでください。 3スレ目 867 「理不尽だとは思わないか。知り合いだからといってお前の家に荷物を届けさせられる。 あの店主、私の都合などお構い無しだ」 「悪いことしたな。どうも店主に顔を覚えられちまったようでなぁ…」 「全くだ。常連客だからと頼まれたから来たものの、 個人として頼まれたら断固として断っていたところだ。 ……それにしても汚い部屋だな。掃除ぐらいしろ」 「してるって。昨日も机の上を片付けたところだぞ」 「机の上だけ片付けてどうする。それでこの有様か……少し片付けるぞ。 …別にお前のためじゃないぞ。私が落ち着かない」 「昨日掃除機かけたんだがなぁ…。その割にはゴミが多いな。 いつ落ちたのかわかんないけど、あそこの毛も結構あるし」 「――!?そ、そういう下品で低俗な根性だから部屋が汚れるんだ!!」 「縮れた毛ぐらいでそう怒るなって。誰にだって生えてるものさ。俺にも、お前にも。 この毛だってお前のかもよ?」 「お前はもう喋るなっ!口を開くな!そこで少し反省していろ! だいたい、私がそんなものを落とすハズがないだろうっ!!」 「……落とすハズないって、ずいぶん自信満々だな………もしかして」 「もう口を開くなと言っただろう…」 「もしかして生えてな」 Caved!! 4スレ目 160 176 160 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/06/19(月) 23 14 01 [ B9E7mHRA ] ぶっちゃけ 慧 音 に 甘 え た い いやまぁどちらかというとチルノとかドSのレミ様とかタイプなんですが…慧音は真面目でいいやつってイメージがあってすごい安心するんだ 俺がどんなにへたれでも叱ってくれそうなんだ落ち込んでても励ましてくれそうでなんつーか最近慧音がいいやつ過ぎて涙がでるんだよおおと書き殴り ただしEXは別 176 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/06/20(火) 11 56 26 [ YTgpxExE ] 160 しゃらくせぇー!!(バキィ 「何すんだよアッチャン!?」 こんな姿見せたく無かったのに…と泣くExけーねを抱き締めて Ex込みでけーねの全てを愛してる!と叫ぶのがけー姉への愛だろ!? 「アッチャンカッコイー!」 カッキーン! フリはともかく、けー姉を愛すなら全てをうけとめるんだ 避難所 15 暑い日差しが容赦なく降り注ぐ夏。 前はそうでもなかったのに、ちきゅう温暖化というものか。 と、教科書から目を離し外を見ながら慧音は思った。 授業を受けている子供たちは熱心に話を聴いている。 時折風が吹いて風鈴がリリン、と鳴った。 「じゃあ今日はここまで、先生もやることがあるからな」 それを合図にしたように、教科書を閉じて慧音が言った。 「せんせー、やることってなんですかー?」 「ちょっとな、人に会いに行くんだよ」 「それって恋人ですかー?」 慧音は少し考えてから答えた。 「似たようなものだな」 その言葉に、驚く子供や少しムッっとする子供。 各それぞれの反応に慧音は思わず苦笑いをした。 「だったら毎日会いに行ったらいいじゃないですかー」 その子供の言葉に、慧音は苦笑いの顔のまま、少し寂しそうに答えた。 「毎日会いに行く必要はないんだよ、もう」 風に煽られて、風鈴がリリン、と鳴った。 移動中の道が日陰だったのが幸いしたか、そんなに汗をかかずに目的地に着いた。 暑いだろうと思い、慧音は水を持ってきて周りに撒いた。 その後持ってきたカゴの中身を再確認し、墓の前に置いて静かに黙祷をした。 「やっぱりここにいた」 そう言われてから、ようやく慧音は目を開けて後ろを振り向いた。 「妹紅か……」 妹紅と呼ばれた少女は、少し笑いつつ慧音の横まで歩いて、墓に手を合わせた。 少しの間、セミの騒がしく鳴く声だけがあたりに響いた。 「そういえば」 ゆっくりと手を戻しながら、妹紅は墓を見続けながら喋り始めた。 「学校ってやつ、まだやってるんだっけ?」 その問いに慧音も墓を見続けたまま答える。 「古い時代なら寺子屋だって○○は言ってたけどな」 「……元は○○がやってたやつだから、もう止めてもいいんじゃないかな」 「あいつが残した唯一のものだ、止めるわけにはいかないよ」 「あれ? それ以外残ってないの?」 少し驚いたように慧音を見る。 慧音は笑っていた。 だが、その笑いもどこか暗い部分があるのを妹紅は見逃さなかった。 「変わったヤツだったからな、それ以外は残ってない」 その答えに妹紅も苦笑して話す。 「確かに。私が聞いた最後の言葉は『止まったら死ぬ!!』だからね」 「……仕方がなかったんだ」 そう、落ち込んだように慧音は言った。 「……慧音、その、思い出させることになっちゃうんだけどさ」 妹紅の呼びかけに慧音は静かに妹紅の方を向いた。 「やっぱり逃げる物に対して咄嗟に掘る癖は直した方がいいと思うよ」 どこかで風鈴が、リリンと鳴った。
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慧音7 10スレ目 474 「○○、起きろ、朝だぞ。」 聞き慣れた声に反応して目をあけると、そこには 既に着替えを終えた慧音が、布団の横に座る形で こちらを見下ろしている。 「ん……おはよ。」 寝起きで動かすのも億劫だったその口でなんとか答える。、 「おはよう。」 慧音は笑顔で答えてくれる。 が 「………Zzz」 再度夢の中にダイヴする俺。(現在の心境→ 睡眠欲>けーねスマイル) 「この状況で二度寝するな!」 先ほどまでの極上スマイルから一変、 否応なしに布団を引っぺがされ、起床を余儀なくされてしまった そんな朝 「疲れが抜けていないのか?」 寺子屋に慧音を送る道中、そんな事を聞かれる。 「…分かる?」 「ああ。目の下にカラスよろしく黒いクマができているし、足取り もおぼつかない。さらにあくびを1分間に6回も連発されれば、分から ない方がおかしいだろ。」 誇張表現が目立ったが、とりあえず俺はそこまでひどい様のようだ 「寝ているときのいびきもすごい音量だ。近所迷惑になるんじゃ ないかと思えるぞ。」 「なぁに、ギシアン時の慧音の嬌声の音量には勝てんよ。」 「っ/////!!」 頭突きをくらって俺の脳はすっかり覚醒した。 そして慧音は俺を置いて、すたすたと足早に寺子屋に行ってしまった 俺も仕事場に行こう…… ちなみに俺の仕事場は力が全てを物語る場所で、常時ガタイのいい あんちゃん達でいっぱいである。 元々運動神経が鈍く部屋からほとんど出ない俺は、3日坊主どころか 3分で逃げ出したくなった程だ。 その代わりに給金は高い。里の中で数ある仕事の中でも、上位に入る くらいの収入が得られる。 なぜそんな場所で働くことにしたかというと、だ。 「よ、お疲れ。」 仕事が終わって寺子屋から出てきた慧音に声をかける。 「先に帰っていてもよかったのに。」 今朝の事をひきずっているのか、いつもと違ってそっけない 「そう言うなって。ところでさ、ちょっと付き合ってくれよ」 「……?」 不審な顔をしつつも俺に着いてきてくれる慧音。徹頭徹尾ご立腹 というわけでもなさそうだ 俺は慧音を人通りの少ない裏路地に連れて行く 「何故わざわざこんな人通りの少ない所で?」 慧音は平常を保とうとしている。が、動揺しているのは手に取るように 分かる。まぁ、これからすることを考えたら無理も無いか。 「人に見られたら恥ずかしいからな。」 慧音は小声で「な…まぁ…○○がどうしてもというなら…////」 とか言っているように聞こえたが、無視してポケットから箱を 取り出す。 「ん。」 そして渡す 「私に…?」 慧音は中の指輪を見て驚く。そして、これ以上の幸福があるのか ってくらいに喜んでくれた あんなむさ苦しいところで働き始めたのは…… 慧音の誕生日にプロポーズするためさ 11スレ目 263 ○○さんの事好きですよね? 「あはは、やっぱり皆にはお見通しと言うわけか」 あれだけ露骨だと誰でも解ると思いますよ・・・当事者を除けば 「いやぁ、それは恥ずかしいな、少し自重しよう」 告白をして恋仲に成ろうとかは考えないのですか? 「確かに彼なら、好きでなくとも断る理由が無ければそういう関係にはなってくれるだろう、だがそれでは意味が無い」 と、言いますと? 「むしろ彼が私に惚れるぐらいではないと意味が無い、私は彼に夢中だからな、見事なまでの両想いが達成されるわけだ」 ではその思いを伝える予定はないと 「私からは、な・・・彼から言ってくれば私もだ、と応えるつもりだよ」 待ち続ける、という事ですか 「いや、待つと言うより無理矢理待ち合わせまでこじつけると言うか・・・惚れてくれるのを待つのではなく惚れさせるのだからな」 その間に他の女性に取られたらどうするつもりですか? 「それは私に魅力がないということだ・・・諦めるしかないのだろう」 結構あっさりですね 上白沢慧音さんの事好きですよね? 「ああ、その通り、俺は慧音を愛してる」 その想いを伝えるつもりはないのですか? 「今のところ無いな、慧音の方から恋仲になりたいというような告白があれば喜んで応じるが」 つまりいつまでも受身の姿勢で待つと? 「ああ、アイツが俺に惚れて向こうから告白してくるのを待つさ」 …ホントに似たもの同士というか・・・同類ですね 「ん?何の話だ?」 話を戻しますが、慧音から告白してくれば見事なまでに両想い達成されるとか考えてます? 「おお、お前サトリか何かか?まさにそうだよ、いや恥ずかしいなこりゃ」 そうですか・・・最後に一つ、○○さんは断る理由が無ければ女性を拒まないと聞きましたが 「あー・・・確かにそうだ、断る理由が無ければな」 ではここで私が貴方を求めたとして・・・応えてくれますか? 「うむむ・・・残念だが、今の俺には断る理由ができてしまっている」 慧音さんですか・・・ 「ああ、今はあいつの事以外は考えられないからなぁ」 そうですか・・・それでは取材にご協力いただきありがとうございました 「おお、気を付けて帰れよ天狗娘」 後日この事が記事になるのだがそれはまた別の話 11スレ目 516 12月26日 外の世界ではクリスマスの後日。 しかし元々和色が強い(と思ってる)幻想郷ではクリスマスなんてどこ吹く風。 一部ではずいぶん騒がしかったり荒れたりしていそうではあったが俺の回りもどこ吹く風。 ……だと思う。俺だけ集まりに呼ばれてないわけではないと思う。 みんな正月の方に力入れるんだろ、きっと。 そんなことを考えながら日課の乾布摩擦。 あばばばば、寒い。 体も心も。 「本当は俺以外の里の方々で宴会でもしてたんだったりしてー」 ゴシゴシ 「まじで」 ゴシゴシゴシ 「うそだと言ってよ、ブアァーヌィー!」 ゴシゴシゴシゴシ 「バーニィ誰やねん」 ゴシゴシゴシゴシゴシ 「あぁ、もう、あまりの寒さと寂しさに一人二役なんてやってしまった。 こんなのだから俺って避けられてる(気がする)んだよ、俺のバカ!バカ!」 「おはよう○○、楽しそうだな」 はっ、この声は! 独り言を言ってる間に接近しているのに気づかなかったとは、不覚。 振り向きざまに気をつけの姿勢、そしてお辞儀 「おはようございます!きゃいっ、上白沢先生!」 噛んだ。 「今日も精が出るな、元気でよろしい」 「ありがとうございます!いってらっしゃいませ!」 ……あぁ、今日も先生とお話しちゃったぁ♪ 何を隠そう乾布摩擦を始めた理由はこんな邪な理由なんだよぉー! 家の前に出て乾布摩擦をしていれば寺小屋に行く先生の進行ルート上に重なるわけだ。 我ながら完璧な作戦だ。 「あぁ、幸せってこういうのかぁ」 「いやいや、違うよ、それを感じるのは速すぎるよ音速とかそんなレベルじゃないよ」 「いやいやいや、俺は今幻想郷で一番しあわ…せぶしゅっ!」 一人ごちてる間に大分体が冷えてしまったようだ。 今日はもう先生も通り過ぎたことだし、また布団に入って寝ちゃえ。 思うが速いかすでに俺の体は家の中、寝室に向かってスキップ。 脱ぐ必要はないけど布団にルパンダーイブ! 「ほあああ!バカ、冷たい!」 すっかり自分の体温も抜け、冷え切った布団からあっという間に出てくる。 うぅ、外より布団の中に入るほうが寒いとは思わなかった。 もう今日はいいや、すっかり目が覚めてしまった。 そうだな、日も昇りきった頃に出かけようか。 里の人に先生と会話したことを自慢しに行くのだニョホホホ。 11スレ目 597 慧音先生と個人授業 先生は分からなくなったとき詳しく教えてくれるけど それ以外のときは後ろに立って勉強姿を見ている あぁ、先生に見られてる、ハァハァ そんな時、答えの間違いを指摘され後ろから 慧音「ん、ここは違うぞ。」 その時、先生の豊満な胸が私の顔のすぐ隣に… 先生は問題の説明に夢中 そ~っと、手を伸ばす。 指先が胸の先端に軽く触れた瞬間 慧音「お、お前!何やってるんだ、勉強中だぞ!」 顔を紅く染めながら怒っている先生、かぁぃぃ。 慧音「悪い子にはお仕置きだ!尻を出せ!」 え?まさか、掘ってくれるの? うっほほ~い。やったぁぁ。 と、思ったら 慧音「悪い子にはお尻ぺんぺんだ!」 そ、そんなぁ。掘ってもらえると思ったのにぃ。 パ~ン、パ~ン・・・ 「せ、先生、こんなの嫌です。」 慧音「嫌じゃない!勉強中に変なことしようとした罰だ!」 「ち、違うんです。私…は。」 慧音「何が違うと言うんだ?」 「わた、私は、先生に、ほ、掘って、ほ、ほ、」 慧音「何だ?ハッキリ言ってみろ。」 「わ、私は先生に…ほ、掘って…もらいたい…。」 先生の手が止まった 慧音「え…あ…お、お前、な、な、ん、あ…。」 顔が真っ赤になって言葉につまってる。 慧音「‥‥‥ん、ん~…。」 後ろを向いて落ち着こうとしてるが目に見えて余計に慌てている 慧音「ん…う、お、お前の気持ちも、わ、分からんで…も、って私は何を言ってるんだぁ! あ、うぅ、そ、それに、今日は、まん、満月じゃ、って、あわわわわわぁ…。」 そうとうパニックになってる。 慧音「お、落ち着け、落ち着け、せ…せいと、生徒の前では、生徒としての、あぁ違うぅ。 せ、先生としての門限…じゃなくて威厳を見せ付け…は言いすぎか、見せなくては。」 慧音「と、とにかくだ。今日の、べ、勉強は、あ…う…お、終わりだ! つ、次は、満月、満月満月。満月の日にでも、あ、う、う、う、うわああぁぁん。教師失格だぁぁ!」 泣きながら帰ってしまった…。 あぁ、掘ってもらえなかったけど あんな先生もかあぃぃなぁ。 次はちゃんと満月の日に教えてもらわないとね。 11スレ目 667 ○「慧音、俺の為に、毎日味噌汁を作ってはくれないだろうか?」 慧「……馬鹿者。味噌汁などとうの昔から毎日作ってやっているだろうに」 ○「ああ、それもそうか。それじゃあちょっと訂正だな。 共に生きるという歴史を、慧音と作っていきたい。これまでも、これからも、ずっとだ」 11スレ目 999 「好きだ」と言うことは実に容易い事だと思うんだ。 ”友愛”と取れるからね。人間は往々にして大事な局面でさえも、 こうした打算を無意識下でしていることが多いんだ。本人さえ気づかぬ内に、ね。 「愛している」「ありがとう」という言葉も、心さえ込めていなければ気軽に言える。 ただ、その二つの言葉を、本心から面と向かって伝えるのは、 とても難しく……そして勇気がいることなんだ。 だから敢えて、今ここで言うよ。 慧音、君の事を愛している。 今までありがとう。そして、これからもよろしく。 12スレ目 999 1000への掛け橋を俺と埋めよう、慧音
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慧音 肩書き 種族 閃き コマンダー行動 陣形 得意術 盗み適性 教師 人間・人間 剣(なし) 物理 龍陣 白虎 4 LP 腕力 器用さ 素早さ 体力 魔力 意志力 魅力 10 17(23) 20(14) 16(19) 15(20) 16(19) 21 18(9) HP 斬LV 打LV 突LV 射LV 体術LV 地術LV 天術LV 増幅LV 150+ 7+ 0 6 0 5+ 白虎5+ 0 5+ 武器1 武器2 武器3 武器4 防具1 防具2 防具3 防具4 三日月刀 仕込み杖 スパイクシールド - リジッドレザー 毛皮のベスト 革のブーツ - 技1 技2 技3 技4 術1 術2 術3 術4 スペルカード 十文字斬り バックスタッブ - - - - - - 変身(バックスタッブ) HP成長 SP成長 WP成長 斬成長 打成長 突成長 射成長 体術成長 2 1 2 1 0 0 0 2 蒼龍成長 朱鳥成長 白虎成長 玄武成長 太陽成長 月成長 増幅成長 消費軽減 1 1 1 1 1 1 3 - ハーマンの名残で元海賊の経歴を持つ慧音先生。 アケの住民によると当時は子供を攫っていたらしい。 教師になってからはモンスターペアレントに悩まされ、 作中の時間軸ではグレートアーチで静養中である。 閃きは剣術なものの素の状態では腕力魔力共に振るわず、高い器用さも成長率に噛み合わない。真価を発揮するのは変身後から。 主人公にしてフォルネウスを倒すと月光の真十鏡を手に入れて戦闘中にハクタクへ変身可能になる。 俗にきもけーねと呼ばれるこの形態は戦闘力の大幅な強化と引き換えに魅力が異様に低下し、更に閃き適性も無くなる。通常時の戦闘では閃きに励み、ここぞという時にだけ変身すると良いだろう。 スペカでも変身できるので、鏡を取り忘れてもEX化は可能。 尚、EX化後でのスペカがバックスタッブなのはCaved!!!!ネタが元か。
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下手な発言をすると慧音に歴史を編纂されます。 主に人物図鑑と用語集あたりに
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■慧音1 慧音に 「慧音さま一人に苦労はさせたくないんですよ・・・」 1スレ目 23 ─────────────────────────────────────────────────────────── 慧音「わ………私の思いの丈を……受け取ってくれるか?」 1.ケツまくって逃げ出す →2.観念して尻を差し出す 3.必死に説得する 1スレ目 27 ─────────────────────────────────────────────────────────── 27 ああ、それで問題ない・・・ というかぶつける相手に俺を選んでくれるのは嬉しいな(w ツノかわいい。 1スレ目 28 ─────────────────────────────────────────────────────────── 満月の夜。僕は竹林へ踏み入った。 妖怪達が力を増す夜。その道中はけして楽なものではない。 だがもう少し。もう少し進めば… 「待っていたぞ。満月の夜にやってくるとはいい度胸…」 「満月の夜だから来たんだ。今のあなたは満月の夜にしか存在しない」 僕の言葉に彼女―――上白沢慧音は一瞬戸惑ったようだが、いつものように言葉を続けた。 「あの人間には指一本…」 「あの人間なんか関係ない。僕はあなたに会いに来たんだ」 「なっ…」 彼女が言葉を発する前に、僕は言っていた。 「あなたが好きです」 言うことはそれだけの筈だった。だが、僕の口からはさらに言葉が溢れ出た。 「今日をずっと待っていた。あなたと会える満月の夜を。今のあなたに、この気持ちを伝えたかったから…」 僕の言葉を、今度は彼女が遮った。 「なんで今の私なんだ!今の私なんか怖いし…気持ち悪いし…」 僕は何も言わず彼女を抱き締めた。彼女の身体は獣。だがそれは人間のそれよりずっと、ずっと…弱い。 「なんで…なん…」 僕は彼女を包み込む腕に力を入れた。そして彼女は、僕の背中を思いきり掴んだ。 胸元が湿ってくるのを感じた。僕はそっと、彼女の頭から生えているそれに口付けた。 とある満月の夜。僕はもう彼女を離さないと誓った。 とある満月の夜。彼女はもう僕から離れないと誓った。 それは能力も何も使わずに創られた「歴史」だった。 1スレ目 157 ─────────────────────────────────────────────────────────── けーね、君に出会った事がこんなにも僕の心を悩ませる。 愛ってつらいものだったんだね、けーね 「じゃぁ、であった事をなかった事にしておきますね♪」(←すごいいい笑顔) 1スレ目 369 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「けーね、これから俺と一緒に2人の歴史を共に刻んで 行 か な い か ?」 1スレ目 568 ─────────────────────────────────────────────────────────── 自分が信じた人間が人間で無い 。 それは最悪の形の 『裏切り』 「暑いなぁ・・・まだ春だっていうのに」 季節は春、なのにこんなに暑っくっちゃやる気が失せる。 ここは幻想郷唯一の人里、なんで妖怪が犇く幻想郷に人里があるかっていうと。 「そんなこと言ってもやらなければ終わらないぞ?」 この上白沢慧音様のおかげであったりする。青い服に銀と青の髪、それにちょっと風変わりな帽子。 いつも俺達を妖怪から守ってくれる凄く強くてさらに良い人だ。 「それもそうなんですがこう暑いとだるくてだるくて・・・」 なんでこんなに暑い日に畑を耕さなければいけなのか。そりゃ生きるためだろうとは思うけどさ。 「だるくてもやるものだこういうものは」 厳しいなぁ・・・まぁそれも俺達を思ってのことだとは、思うけどさ。 「わりましたよ、っと」 俺が適当に答えると慧音様は苦笑しながら。 「本当にわかってるのか?」 わかってるさ、とりあえずはだけど。 @ 「ふぃ~やっと終わった」 疲れた。しかも朝方からやったせいでやっと日が昇ったくらいだ。 「お、終わったか。ほれ、差し入れだ」 そう言って投げてきたものを受け取ってみてみると、煎餅。 ・・・水をくれ水を。 でも嫌な表情を出すのも悪いか 「ん、どーも」 とりあえず食べておこう、煎餅を食べると醤油の味が広がる。うんやっぱり煎餅は醤油だな。 「けーね先生!あーそーぼ!」 子供が数名慧音様を呼んだ、やっぱり子供は元気に限るな。昔の俺もあんなんだったな、今思うと少し恥ずかしいが。 「すまない、子供達が呼んでいるみたいだし、私は行くよ」 「気にする事ありませんって」 いちいち気にしなくても良いのになぁ。まぁそこが良いのだけど。 さて、やる事やったし練習しますかな。最近は慧音様だけに守らせるのも、ってことで里の人々も武術を学び始めたんだ。 俺は弓を使っているが最初は全然当たらなかったし届きもしなかったが五ヶ月もやっていると流石に当たるようになってきた。 「今回は・・・50mからにするか」 まだ一度もあたったことの無い距離だ、これぐらいは当てておかないと妖怪退治は到底無理だ。 慧音様は素質はあるとは言ってたけど・・・。 50mほど離れた後弓を引き絞る、狙いを定めた後、放つ。 矢が放物線を描いて50m先の的を狙って飛んでいく。が、あと数ミリのところで外れた。 この数ミリの差が凄いんだよなぁ、当たると思っても当たらないし。 もう一度弓を引き絞り狙いを定める、前より少し修正して放つ。 今度は当たるか・・・? カッ!! 木に当たる良い音がした、どうやら当たったみたいだ。 パチパチパチパチェ 後方から拍手が聞こえたので振り返ってみると、遊んでいたはずの慧音様が居た。 「結構うまくなったじゃないか、けどもう少し姿勢を直した方が良いぞ」 姿勢か、あんまり気にしてなかったから悪くなったかもしれない。 「それよりも、子供達と遊んでいたんじゃなかったんですか?」 「ん?ああ、お昼ごはんとか言って帰って行ったよ。やはり子供は元気が一番だ」 そういえばもう昼か、そんな事を考えたら腹が減ってきた。 「んじゃ、飯にしますかな」 そう言って懐を漁っておにぎりを三個とお茶を取り出す。中身は全部梅だ。 「まったく、家に帰ってちゃんとしたのを作ったらどうだ?」 慧音様が呆れ顔で言ってくる、良いじゃん別に死にはしないさ。逆に作ったら死ぬかもしれないし。 「とりあえずは代用ですよ、料理作れないし」 そう言いながらお茶を啜る。 「なんなら私が作るか?」 「ブフゥッ!!」 思わず飲んでいた茶を吹いてしまった。この程度の水じゃ虹は出ないけど。 「ゴホッ、ゴホッ!作るって別にゴホッ!いいですゴホッ」 ついでに咽たため何言ってるかわからない状況だ、それでもちゃんと翻訳してくれるけど。 「まぁ気にするなって」 気にする、もしそんな事が知人にばれたら殺されるって、絶対。 「いえ、いいですから本当に」 「そうか?ならばいいんだが・・・」 慧音様の料理は確かに一度は食べてみたいものだが、今は自分の命の方が大切である。 とりあえず練習再開しないと。 「それじゃああんまり無理するなよ?」 そう言って慧音様は去っていった。 あと十発は打ち込もう、そう考えていた。 @@ すっかり遅くなってしまった。っていうかもう夜だよ、真っ暗じゃん。それに今日は満月だし・・・早くしよう。 十発とは考えていたけどあんまり当たらなかったせいで何百発打ち込んだ事か・・・。 家へ向かって走っていると、訳のわからないところに着いた。どうやら迷ってしまったようだ、二十年近く暮らしてきた里なのに。 どうやって帰ろうか、そんな事を考えていると暗くてよく見えないが目の前に後ろ向きの慧音様が見えた。丁度良いから道でも聞こう。 「おーい、慧音・・・さ、ま?」 そこに見えたのは姿形は慧音様だが服の色は緑になり、普段被っている帽子が無く、代わりにツノらしきものと尻尾が見えた 人間、つまりは・・・獣。 「なっ!お、お前!どうしてここに!?」 振り向いた慧音様が驚いてこっちに言ってきた。慧音様はこんな姿ではない・・・偽者か! 「誰だ貴様は・・・!」 俺は声を低くして聞いた。 「私だ!上白沢慧音だ!」 「嘘をつくなバケモノ!!」 慧音様はこんな姿ではない!こいつは偽者だ!絶対に! 「そうだな、今の私はバケモノだろう。でもお前の事は覚えている、子供の頃に井戸に落ちた事があってそれ以来井戸に近づかなくなった とか、いろんなことをな」 「どう、して。どうしてそんな事を知っているんだ!お前は、お前は慧音様の偽者なのに!」 たしかに、昔井戸に落ちた事があってそれ以来トラウマになっていた事は事実だ。なのになんでこのバケモノは知っている!? 「私は偽者ではない!!慧音だ!!本当だ、わかってくれ!」 解っている、心のどこかでは本人だと解っているのだが、今まで尊敬していた人物が妖怪だったなんて認められない、信じられない。 だから、だからこいつは偽者なんだ! 「うるさい!貴様のような偽者が、バケモノが、慧音様の姿を真似ることなんて俺は、許さない!!」 「くっ・・・!」 俺は即座に後ろに持っていた弓と矢を構えた。こんな奴、俺が退治してやる。 「覚悟しろよ・・・!慧音様に化けた代償は大きいぞ・・・」 「・・・その弓か、お前もだいぶ上手くなった。子供の頃に妖怪を退治するんだって言ってた頃が懐かしいな。 まさか、こんな形で使われようとは思わなかったよ。○○」 その瞬間頭の中にあった記憶が走馬燈のように甦ってきた。 子供の頃に一緒に遊んだ慧音様、大きくなったと言ってくれた事がうれしかった。 それから弓を習って上手くなったと言ってくれた慧音様、あの時は家で喜んだ。 妖怪が来た時に助けてくれた慧音様。たまに家に来て様子を見に来る慧音様。仕事の時に手伝ってくれた慧音様。 笑っていた慧音様。慧音様、慧音様、慧音様慧音様慧音様慧音サマ慧ネサマケイネサマケイネサマケイネサマケ イネサマケイネサマケイネサマケイネサマケイネサマケイネサマ。 様々な出来事にはほとんど慧音様が居た、それが今敵として目の前に居る。 いや違う。こいつは偽者だ!偽者なんだ!!化け物が化けた偽者なんだ!!! 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 懇親の力を込めて弓を引き絞る、もう何も考えられない。勝手に涙が出てくるがお構いなしに狙いを定める。 「!」 いきなり何者かに強く押された気がした、いや押された慧音様に。 吹き飛ばされて尻餅をつく、そのあと俺が居たところに大量の弾が降り注いだ。 「あーあ、なんで助けるのよ。もう少しで食べられると思ったのに」 「そんな事はさせない、あの人間には指一本触れさせるものか!」 空中で妖怪二人が生死を賭けた勝負が始まった。それなのに俺は腰が抜けてまともに動けない。 「残念だけど一人じゃないのよ、早く逃げれば助かったのかも知れなけど」 後ろから声がかけられてとっさに振り向くと、女が立っていた。しかしコレも妖怪か。 「そう、私は妖怪。妖怪は人間を食べるの、だから死んでもらうわ。家に帰ってから食べるし」 そう言って腕を振り上げた。逃げたいが足がすくんで動けない、俺は・・・死ぬのか。 ザシュッ! あれ?痛くない。目を開けてみると目の前には緑の服を着た・・・妖怪。どうやら俺をかばったみたいだ。 「あら、また邪魔されちゃった」 「どうしてかば、ったんだ・・・?」 「それ、はな。私は人、間が好きだ、からさ」 「人間が好き・・・?」 慧音様なのか、やっぱりそうなのか。解っていたのだけど信じられなかった。それでも、これは慧音様なんだな。 「まったく!人間を守る妖怪なんて酔狂な奴も居たものね!前から知ってたけど!」 「くっ!」 そう言ってもう一度腕を振り上げた、狙いは慧音様。拙い!俺はとっさに弓を構え、矢を放った。 「っ!この人間が!狙うなら目の前の妖怪を狙いなさいよ!緑の服の方!」 腕に当てられた妖怪が叫んだ。そう言うと思った、もうすでに答えは用意してあるさ。 「妖怪だろうと人間だろうと!慧音様は慧音様だ!だから貴様を倒す!」 「はっ!この妖怪と同様にお前も変わった人間だね!さっさと死になさい!」 「死ぬのは・・・お前だよ」 @@@ 結局最後の最後で慧音様が妖怪を退治してくれたわけ。にしても、なんで妖怪になったんだ? 「ああ、私は半獣だ。満月になるとハクタクという歴史食いになる」 一通り落ち着いた後に慧音様はこう言った。ああ半獣かぁ、なんとなく解った。 「このことで、私を嫌いにならないか?」 「嫌いになんかなる訳無いじゃないですか。それよりも、あなたに伝えたい事があります」 子供の頃から思い描いていた思い。今こそ言うべきだ。 「俺は、貴女が好きです。幻想郷のどの人間の中でも」 「私は半獣だっt」 何かを言おうとした慧音様の口を俺の口で塞いだ。 「お答えは?」 「ん、そうだなどちらでもないでは、駄目か?」 「駄目ですね、可か否でお願いします」 「じゃあ、今度からお前の昼ご飯でも作ってやる事にするか」 「それは可・・ですか?」 「いや、それは保留だ」 そう言って慧音様は少し笑った。 @@@@ 「貴様!昨夜慧音様と口付けしたってのは本当か!?」 「してないしてない!絶対してないってば!」 まったく何処から漏れたんだが・・・。 「嘘付くなぁ!貴様なんぞまた井戸に落としてくれるわ!」 それは勘弁して欲しい、井戸はトラウマだってのに。 「おーい!持ってきたぞー!」 一通りの鬼ごっこした後に慧音様が弁当を持ってきてくれた。 「あ、どうも」 「何っ!?貴様よこせー!」 「嫌だ、もし欲しかったらお前も頼めばいい」 俺は頼んではないがな。 今のところは可か否かは決まってはいないらしいがそのうち決まる事になるだろう、俺が死ぬ前には。 慧音様と目線が合うと慧音様は軽く微笑んだ。つられて俺も笑ってしまった。 里は今日も平穏だ。 1スレ目 717 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ここはどこだぁーーー!?」 気がついたら見知らぬ竹林に立っていた、思わず叫ぶ俺。 しかし何の反応も返ってこない。 空を見上げる、満月が輝いていた。 「困ったなぁ…」 ここに立っていても反応が無い事を確認すると、当ても無く歩き出した。 30分ほど歩いた、何も無い。 1時間ほど歩いた、何も無い 「勘弁してくれよ、もしかして遭難ってやつですか…」 愚痴りながら歩いても歩いても見渡すは竹ばかり、このまま野垂れ死にするんじゃないかと想像して怖くなった。 疲労した体に鞭を打ち、歩きつづけた。 そうして1時間52分ほど歩いた所で何かに出くわした。 『あれっ!?』 俺の声と何かの声が重なる。 日本語だ、ママ日本語だよ!と心の中で叫びながら、確認しないまま声の主に駆け寄ってしまう。 「ここはど「あの人間には指一本触れさせん!!」 声の質がやばい事に気づいたが、確認したときには時すでに遅し。 ピチューン 体中に衝撃が走る、薄れてゆく意識の中で声の正体を見た。 長い髪の小女だった、頭には角が生えていたが… その姿を見て、何故か1000万パワーの悪魔超人を思い出した。 「ゆ○先生、彼は何故…ヅラだったんですか…」 そこを境に意識は無くなった。 目を覚ましたときは布団に寝ていた。 思わず上半身を起こし、辺りを見まわす。 昔の日本家屋みたいな感じだった。 「よかった、目が覚めたか」 後ろから声が掛かる、振り向くと救助してくれたらしい少女がいた。 「あれっ、悪魔超人は?」 「なんだそれ?お前が竹林で倒れていたのを見つけてな、ここまで運んだ訳だ」 目の前の少女は名前を上白沢慧音といい、見つけた経緯を話してくれた。 「何でまたあんなところに居たんだ?」 「実は…」 俺も自分の分かる範囲の事を説明した。 「大変だったな、しばらくはここで休んでいると良い」 俺は慧音の行為に甘えることにした、疲れていたし、休みたかった。 その日の夜、布団にもぐりながら考え事をしていると… 布団に何かが入り込んできた、確認しようとすると。 「こっちを向くな、そのまま寝てろ」 「ちょっとなんでこっちに??」 もぐりこんで来た何かは慧音だった。 戸惑いを覚えたが、内心では慧音キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!だった。 可愛い子が一緒に寝てくれる事で、頭の中でファンファーレが鳴り響いた。 「布団が一組しかないんだ、しょうがないだろう…まったく…」 何か愚痴っていたが、全然聞こえていなかった。 良い髪の匂いだなぁとか暖かいなぁ、そんなことしか考えていなかった。 それから3ヶ月 慧音の手伝いをしながら過ごしていた。 ある日、子供たちと遊んでいるときに質問が来た。 「けいねせんせーとおにいちゃんてこいびとなの?」 休憩していた慧音は茶を吹いた。 「ゴホッゴホッ、からかうんじゃない、○○はただの居候だ」 「えーー、でもけいねせんせーうれしそうだよ」 「そうそう、おにいちゃんきてからうきうきだよ」 慧音が赤面しながら弁解している、必死な姿も良いなぁ。 そんなこと思っていると。 「おにいちゃんはどうなの?けいねせんせーのことすき?」 油断も隙もありやしない…こうなったら覚悟を決めるしかない。 「俺は慧音のことが大好きだ!」 3ヶ月前に出会ってから、今現在に至る思い出を込めて叫んだ。 助けられた時のこと、一緒に飯食ったこと、一緒に笑ったりしたこと。 自分の中で慧音の存在が大きくなっていること、自分の気持ちを込めて叫んだ。 「俺は慧音のことが大好きだぁーー!」 その叫びは村全体に聞こえたらしく、俺と慧音は散々茶化されてしまった。 そのせいか、帰りはすっかり夜になったしまった、満月が綺麗だった。 慧音に竹林に寄って行こうと言われ、ついて行った。 「3ヶ月前ここで倒れていたお前を見つけたのが、始まりだったな」 背中を向け、寂しそうに帽子を取る。 「あの時は本当に助かったよ…しかしあの角は…」 本当は気付いていた、角の生えた慧音が俺をノックダウンしていたこと。 「やっぱり分かっていたか、本当に知られたくなかった…」 慧音の頭に角が生えてくる、そして威圧感が辺りに撒き散らされる。 「悪いな、可愛い子の顔は覚えてるんだ」 威圧感に負けないように軽口をたたく、みっともないことに足が震えている。 「さぁ分かっただろう、私は化け物だ!どこかへ消えてくれ!」 こちらへ振り向き弾幕を放つ、狙いは全然合っていない。 「断る!」 震える足を前に出す、一歩一歩前進する。 弾幕が体を掠る、狙いが定まっていないとはいえ、ばら撒けば十分脅威だ。 「来ないでくれ、頼むから来ないでくれ!」 弾幕の量が増える、怖い…怖い…怖い。 ここから逃げ出せればどんなに楽なことか、でも出来ない。 ひたすら前進した。 弾が体を捉える。1発、2発、3発… 痛みが体に走る、だけど前進を止めない。 「お願いだから倒れてくれ!もう止めてくれ!」 慧音が叫ぶ、放たれた弾幕が止む。 「まだ倒れない!止められない!」 意識が飛びそうになるのを防ぐため、気合を入れる 全身が悲鳴を上げるなか、何とか慧音の目前に立つ。 「あっ…」 震える慧音の両肩を掴み、顔を見つめる。 泣いていた、子供が拒否されるのが怖くて泣いているようだった。 「俺は慧音が大好きだ!角が生えてようが生えてなかろうが大好きだ!慧音が大好きだ!」 最後の力でそれを伝えると、意識が消えていった。 「○○!しっかりしろ○○!」 なんか俺を呼んでるようだけど、眠りたかった… 目を覚ます、体の節々が痛む。 我ながら無茶をしたなぁと思いつつ辺りを見まわし、慧音の姿があるか確認した。 視界には姿は無かった。 「駄目だったか…肝心な時はいつもそうだ、情けない…」 大きいため息を付く。 「目が覚めたか○○、本当に困ったやつだよ」 求める姿を確認し、心臓が跳ね上がる。 「慧音、お前…」 「あれから私も考えたんだが、これが答えだ」 唇に柔らかいものが当たる、慧音がキスしたと気付くには時間が掛かった。 「これからは2人の歴史で満漢全席だ!」 赤い顔で慧音が微笑む、俺もつられて微笑む。 その日の夜、縁側で月を見上げながら考えていた。 「何を考えているんだ?」 隣でお茶を飲んでいた慧音が不思議そうな顔で俺を見る。 「まぁ色々な…幸せを実感している」 上手く説明できないが、嬉しい気分だけを伝える。 「そうか、私もだ…だが本当にいいのか?私なんかで…」 不安そうな表情でこちらを見る慧音。 「その話はもう止め!俺は慧音を選んだ、慧音は俺を選んだ。だから問題は無い!」 自分の意見をハッキリさせるのが上策だと感じたので聞かせる、言葉を聞いた慧音はハッとした顔で。 「そうだな、宜しく頼む旦那様」 そう言って背中に抱きついてきた、背中に当たる柔らかい感触にドキドキしながら、 照れ隠しに頭をかく。 「私だってドキドキしているぞ」 ばれていましたよ、多分赤面しているんだろうな俺、 思わず降参のポーズを取る。 「分かってたか、まったく…かなわないなぁ」 振り返り慧音を見つめる。 「幸せだな」 「私も幸せだ」 こうして幻想郷の1日は過ぎていく。 まぁ多分幸せにやっていけるだろう、そんな気がする。 なぜなら隣に素敵な人がいるから。 ******************** 後書き 一緒の布団で寝るのはマイジャスティス! 読んでいただき誠に有難うございます。 私の脳内ではなぜか、けーね=ツンデレの方程式が成り立っています。 溢れるドリームをイメージするのは良いんですが、言葉にすると難しいですね。 妹紅を出そうと思っていましたが、長くなるのでカット。 次も書くことが有ったら宜しくお願いします。 プロポスレ全てのビューティフルドリーマーに送る 2スレ目 15 ─────────────────────────────────────────────────────────── ドゴッ!バキッ!ドガッ! 僕の繰り出した攻撃を食らって妖怪が吹っ飛んでいく。 …よし、次だ! 「キシャァァァァァ!」 「お前らぁ、絶対に里へは行かせないからな!」 僕はとある里の外れに一人暮らしで住んでいる。 正確に言えば、里からは少し外れている。 …そして、少し高台にあるので妖怪の襲撃が一目でわかる。 そして…慧音の家の隣である。 「○○、お前は見込みがあるんだから私を手伝わないか?…まぁ、お前は人間だからやめておいた方がいいか…」 ある日慧音が言ったこの台詞、それが僕を奮い立たせた。 毎日10時間の猛特訓、それを半年毎日欠かさず続けた甲斐あって僕は本当に慧音の手伝いをするようになった。 「フッ…まさか本当に私のこの仕事を手伝ってくれるとはな…お前はいい根性してるよ…」 「フフフ…人間の努力を甘く見てはダメだぜ…」 その日からは結構大変だった。 どうやらこの里は妖怪たちに完全に狙い目にされているようで毎日のごとく妖怪たちが襲ってきた。 だが、今までその妖怪たちを一人で追い払っている慧音とここ半年の間にスペルカードを使えるようになるまでの成長を見せた僕とのタッグの前に妖怪たちは成す術もなく退治されていった。 が…最近になって少し様子が変わってきた。 妖怪たちが前よりも数の多い群れで来るようになり、しかも僕だけを執拗に狙うようになったのである。 いくらスペルカードが使えるからといって僕は人間、慧音の様に強くはない。 そして、慧音もそのことを知ってか、いつしか僕をカバーしながら闘う様になってしまった。 「くっ…まだ…まだ僕は鍛錬が足りないのか…」 「いや、お前は良くやってるよ。私だって正直驚いているんだから」 「だったら、僕をカバーしながら闘うのはやめた方がいいぞ。慧音だって半獣だけど限界はある。そんな闘いかたをしてるといつか死ぬぞ」 「フッ…考えておこう…」 そういったものの、やはり慧音は僕をカバーし続けた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「くっ…また多いな…今回も…」 「大丈夫だ、私とお前なら十分に倒せる。」 今回もやはり妖怪たちは僕を重点的に狙ってきた。 そして慧音も僕をカバーしつつ闘っていた。 しかし、最悪の事態が起きてしまう… 「痛ッ!!」 「○○!大丈夫か!」 妖怪の放った斬撃が僕の腕を掠めた。 しかしこれくらいならまだ闘える。 「大丈夫だ!心配な…!慧音!危ない!」 僕が見たもの、それは慧音の後ろで妖怪が爪を大上段に上げている瞬間だった。 そして…鮮血が舞い散った… 「ぐあっ!」 「慧音!!」 周りにいる妖怪を蹴散らしつつ僕は慧音のそばに駆け寄った。 「大丈夫か!?」 「クッ…うああ…」 まさか…これは毒!? 一刻も早く解毒しないと… 「…くそっ!とにかくこいつらを追い払わないと!食らえ!裏百八符"大蛇薙"!」 僕のはなった炎により何とか妖怪たちを撤退させることに成功した。 しかし、依然慧音は毒にうなされている。 僕は自分の家に戻り解毒剤を投与した。 「…慧音…僕のせいで…」 「フン…私がやられるなんて…ヤキが回ったかな…」 …慧音は…僕をかばったせいでやられてしまったんだ… クッ…自分の非力さを…憾みたい… ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 慧音は今は静かに眠っている。 解毒剤の鎮静効果が効いているみたいだ。 僕は気分転換に外に出た。 「ふぅ…ん!?」 なんと昨日の妖怪たちがまた襲撃に来ているではないか。 「嘘だろ…クソッ、止めなくては!」 僕は妖怪たちの元へ走っていった。 「ケーケッケッケッ、何だ今日はお前一人か!」 「ああ、だがお前らを里に行かせるわけにはいかない!」 「フン…あの半獣さえ居なければ突破するのは簡単だ!お前を血祭りの第一号にしてやる!」 「どっちが血祭りになるか、試してみるか!?」 そして、死闘が始まった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「クッ…」 「ヒャーハハハ!もう限界か?」 なんとか後二匹まで減らすことは出来たが、僕自身、もう限界だ… 満身創痍でスペルカードももう1枚しか残っていない。 「フン…やはり人間は弱いな!」 「クソッ…こんなところで終われるかよ…」 まだ、自分の想いを伝えていないのに… 「行くぞ!」 「くっ!させるか!食らえ!」 炎を纏った渾身の右ストレートが妖怪にクリーンヒットする。 「ぐああああ!」 その妖怪は炎に包まれて消えた… 後一匹だ、そう思った直後だった。 ザクッ!ドシュ! 気がつくと腹から何かが生えていた。 否…それは、後ろに居た妖怪の腕だった。 背中から体を爪で刺し抜かれていた 「ヒャーハハハ!油断大敵って言葉知ってるか人間!」 「ぐあっ…がはっ…」 その腕が引き抜かれて、鮮血が飛び散った。 僕は吐血しその場に倒れ伏した。 まずい…内臓をやられたっぽい… 「ヒャーハハハ!終わりだな人間!お前の里はこれから俺がいい餌場として使わせてもらうぜ!」 「……」 …僕は、死ぬのか? いやだ!こんなところで死にたくはない! まだ…まだこの想いを伝えていないのに! くそっ!僕の体よ!動け…動けよ…動いてくれよぉぉぉ! 「うあああああああああああああああああ!」 「ヒャッハッハ!まだ生きてやがったのか人間!今度こそ死ね!」 妖怪が僕に向かって突っ込んでくる。 僕はポケットからスペルカードを取り出して… 「最終決戦奥義"三神技ノ壱"!」 「なにっ!ギャアアアアアア!」 最後の妖怪も炎に包まれて…消えた。 「はぁ・・・はぁ・・・勝っ・・・た」 その言葉を最後に僕の意識は遠のいていった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 気がついたら僕は自宅の布団で寝ていた。 「う・・・」 「気がついたか、ったく・・・無茶をしすぎだぞ。」 そうか…慧音が僕を運んでくれたのか… 「慧音…」 「喋るな。まだ峠は越えていない。お前は生死の境を彷徨っているんだからな。」 いや、僕にはわかる。 この体が…命が…最期を迎えようとしていることが… 多分…慧音もうすうす感づいてるんじゃないか? 「フン…やれやれ…妖怪と戦って里を守ってあの世へ逝くのか…僕の人生としては…上出来かな…」 「何を言ってるんだ。早く元気になってくれよ。また妖怪が来るかもしれないんだから…」 「…慧音…分かってるんだろ…僕は…もうダメだって事ぐらい…」 「…くそっ!何で・・・何でお前が死ななくてはならないんだ!」 慧音が涙を流している。 …初めて見たな…まあ、冥土の土産には充分すぎる… 「…いや、慧音…僕は結構満足してるんだぜ…慧音の大好きな里を、人間を、…そして慧音自身を守れたし…それに…この想いを伝えることが出来るんだし…」 「…何?お前は…どんな想いを伝えたいんだ?」 僕は慧音に向かって人生の中で誰にも見せたことのないぐらいの満面の笑顔で言った。 「僕は、慧音が…貴女が好きってことさ…」 「な…」 慧音が真っ赤になった。フフフ…可愛いなぁ 「心残りなのは…貴女を…抱きしめられずに…逝くことだな…」 「…フッ…心残りなんて…させるものか」 慧音が布団の中に入ってきて僕を抱きしめる …ああ、慧音って…こんなに温かいんだ… 「ありがとう…慧音って温かいな…」 「…○○、私も…私もお前のことがずっと好きだった」 「フッ…今の僕ほど…この世で幸せに逝ける人間は…居ないだろうな…」 「○○ッ!」 こうして…幻想郷で一番幸せな恋が…暁に散った… ~~~~チラシの裏~~~~ なんつうか、メチャクチャ文が変だ…orz ~~~~ここまでチラシの裏~~~~ 75さん、とりあえず…すみませんでした…orz 2スレ目 107 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「慧音さん!!!」 「おお○○か。どうした、こんな夜中に。」 「実は・・俺・・・」 --- けーねおねーちゃんはやさしい このまえ、ぼくがころんでないてたときも やさしくなぐさめてくれた 「○○、お前は男の子なんだからもっと強くならなければだめだぞ」 って ぼくはつよくなりたい つよくなってけーねおねーちゃんをまもるのがゆめなんだ だってぼくはけーねおねーちゃんがだいすきだから --- 慧音お姉ちゃんは強い 長老から聞いた。 慧音お姉ちゃんは僕達を妖怪から守ってくれてるんだって。 僕だって武術を習ってるけど、絶対かなわないよ。 お姉ちゃんは優しいだけじゃなくて強いんだね。 --- 慧音さんは人間じゃない 妖怪と対等に渡り合えるなんておかしいと思っていたが、 慧音さんは本当は人間ではなく、半獣(ワーハクタク)らしい。 なるほど、それなら、 村人が妙に彼女を恐れているのも、 彼女が村の外れに住んでいるのも、 満月の夜に姿を現さないのも、 全て納得できる。 でも、 よく考えてみれば、彼女は人間とそう変わらないんだ。 だって、満月の日以外は普通の人間じゃないか。 みんなどうして「大好きなお姉ちゃん」から、 「忌み嫌うべき妖怪」と見方を変えるんだろう。 俺みたいに普通に接することが出来ないのか。 満月近くの思いつめた彼女の表情。 十六夜の晴れ晴れとした表情。 それを見れば、彼女を悪く言う事など出来ないだろう。 ・・・実際のところ、俺はすっかり魅せられてしまった。 小さい頃から好きだったが、 今の「好き」はどうも違うみたいだ。 これが「恋」と言うものなんだろうか・・・。 今日は十六夜。 行こうか。 ・・・彼女のところへ・・・ --- 「俺は慧音さんのことが好きなんだ。」 「私も好きだぞ・・・特にお前は小さい頃から見てるしな」 「・・・違うんだ。その『好き』じゃない。」 「??」 「愛してる!!!俺と一緒にいてくれ!」 「・・・!!・・・・あ・・・・ええと・・・」 慧音さんは顔まで真っ赤にしている。 俺は軽く口付けをすると、 彼女を優しく抱きしめた。 2スレ目 184 ─────────────────────────────────────────────────────────── むしろ慧音に毎日料理を作ってやりたい。 「今日も来てくれたのか。まったく………そんなにしてもらうほど、私は偉いものではないんだぞ」 なんて言って赤面している様子を見てみたい。 3スレ目 132 ─────────────────────────────────────────────────────────── 慧音様 あなたの想いも、 あなたの傷も、 あなたの心も、 あなたの在り方さえも、 全部ひっくるめて俺が支えます。 だから、もう、一人で何もかもを背負いこもうとしないでください。 3スレ目 450 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「理不尽だとは思わないか。知り合いだからといってお前の家に荷物を届けさせられる。 あの店主、私の都合などお構い無しだ」 「悪いことしたな。どうも店主に顔を覚えられちまったようでなぁ…」 「全くだ。常連客だからと頼まれたから来たものの、 個人として頼まれたら断固として断っていたところだ。 ……それにしても汚い部屋だな。掃除ぐらいしろ」 「してるって。昨日も机の上を片付けたところだぞ」 「机の上だけ片付けてどうする。それでこの有様か……少し片付けるぞ。 …別にお前のためじゃないぞ。私が落ち着かない」 「昨日掃除機かけたんだがなぁ…。その割にはゴミが多いな。 いつ落ちたのかわかんないけど、あそこの毛も結構あるし」 「――!?そ、そういう下品で低俗な根性だから部屋が汚れるんだ!!」 「縮れた毛ぐらいでそう怒るなって。誰にだって生えてるものさ。俺にも、お前にも。 この毛だってお前のかもよ?」 「お前はもう喋るなっ!口を開くな!そこで少し反省していろ! だいたい、私がそんなものを落とすハズがないだろうっ!!」 「……落とすハズないって、ずいぶん自信満々だな………もしかして」 「もう口を開くなと言っただろう…」 「もしかして生えてな」 Caved!! 3スレ目 867 ─────────────────────────────────────────────────────────── 160 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/06/19(月) 23 14 01 [ B9E7mHRA ] ぶっちゃけ 慧 音 に 甘 え た い いやまぁどちらかというとチルノとかドSのレミ様とかタイプなんですが…慧音は真面目でいいやつってイメージがあってすごい安心するんだ 俺がどんなにへたれでも叱ってくれそうなんだ落ち込んでても励ましてくれそうでなんつーか最近慧音がいいやつ過ぎて涙がでるんだよおおと書き殴り ただしEXは別 176 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/06/20(火) 11 56 26 [ YTgpxExE ] 160 しゃらくせぇー!!(バキィ 「何すんだよアッチャン!?」 こんな姿見せたく無かったのに…と泣くExけーねを抱き締めて Ex込みでけーねの全てを愛してる!と叫ぶのがけー姉への愛だろ!? 「アッチャンカッコイー!」 カッキーン! フリはともかく、けー姉を愛すなら全てをうけとめるんだ 4スレ目 160 176 ─────────────────────────────────────────────────────────── 暑い日差しが容赦なく降り注ぐ夏。 前はそうでもなかったのに、ちきゅう温暖化というものか。 と、教科書から目を離し外を見ながら慧音は思った。 授業を受けている子供たちは熱心に話を聴いている。 時折風が吹いて風鈴がリリン、と鳴った。 「じゃあ今日はここまで、先生もやることがあるからな」 それを合図にしたように、教科書を閉じて慧音が言った。 「せんせー、やることってなんですかー?」 「ちょっとな、人に会いに行くんだよ」 「それって恋人ですかー?」 慧音は少し考えてから答えた。 「似たようなものだな」 その言葉に、驚く子供や少しムッっとする子供。 各それぞれの反応に慧音は思わず苦笑いをした。 「だったら毎日会いに行ったらいいじゃないですかー」 その子供の言葉に、慧音は苦笑いの顔のまま、少し寂しそうに答えた。 「毎日会いに行く必要はないんだよ、もう」 風に煽られて、風鈴がリリン、と鳴った。 移動中の道が日陰だったのが幸いしたか、そんなに汗をかかずに目的地に着いた。 暑いだろうと思い、慧音は水を持ってきて周りに撒いた。 その後持ってきたカゴの中身を再確認し、墓の前に置いて静かに黙祷をした。 「やっぱりここにいた」 そう言われてから、ようやく慧音は目を開けて後ろを振り向いた。 「妹紅か……」 妹紅と呼ばれた少女は、少し笑いつつ慧音の横まで歩いて、墓に手を合わせた。 少しの間、セミの騒がしく鳴く声だけがあたりに響いた。 「そういえば」 ゆっくりと手を戻しながら、妹紅は墓を見続けながら喋り始めた。 「学校ってやつ、まだやってるんだっけ?」 その問いに慧音も墓を見続けたまま答える。 「古い時代なら寺子屋だって○○は言ってたけどな」 「……元は○○がやってたやつだから、もう止めてもいいんじゃないかな」 「あいつが残した唯一のものだ、止めるわけにはいかないよ」 「あれ? それ以外残ってないの?」 少し驚いたように慧音を見る。 慧音は笑っていた。 だが、その笑いもどこか暗い部分があるのを妹紅は見逃さなかった。 「変わったヤツだったからな、それ以外は残ってない」 その答えに妹紅も苦笑して話す。 「確かに。私が聞いた最後の言葉は『止まったら死ぬ!!』だからね」 「……仕方がなかったんだ」 そう、落ち込んだように慧音は言った。 「……慧音、その、思い出させることになっちゃうんだけどさ」 妹紅の呼びかけに慧音は静かに妹紅の方を向いた。 「やっぱり逃げる物に対して咄嗟に掘る癖は直した方がいいと思うよ」 どこかで風鈴が、リリンと鳴った。 避難所 15 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「なぁ、妹紅さんよ。」 「んあ?何?」 「慧音さんの好きな食べ物とか知ってる?」 俺と妹紅は慧音さんの家の中でのんびり会話を交わしていた。 数ヶ月前にここに迷い込んだ所を慧音さんに助けてもらって以来、この家に置いてもらっている。 妹紅はこの家の住人ではないけれど時々遊びに来るので親しくなったのだ。 ちなみに今は青空教室中で慧音さんはいない。 「んー、葡萄かなぁ。」 予想外の答えに俺は寄りかかった窓の縁からズルっとすべる。 「いやいや妹紅、料理を聞いてるんだ。」 「あー。そうならそうと言いなさいよね、紛らわしいったらありゃしない。」 赤面しながらふてくされる妹紅。 結構長い事生きてるって聞いたけど、この仕草にはKOされそうなパンチ力があると思う。 「永遠の少女って妹紅の為にある言葉かもなー。」 「な、何か言ったっ!?」 「いえいえ何も言ってませんよ。」 「…むぅ、ならいいんだけど。そうねぇ、慧音が好きな料理っていったら……冷奴かしらね?」 むっとしたまま答える妹紅の言葉に今度は完全に床に滑り落ちた。 「ひ、ひややっこ…ですか?」 「うん、冷奴。で、こんなの聞いてどうすんのよ?今晩のおかずにでもする気?」 「う、うん、まぁそんな所かな。」 苦笑しながら答える。内心はアップアップである。 よろよろと立ち上がると俺は玄関に駆け抜けた。 「ち、ちょっと買出しに行って来るわーっ!」 「あ?い、いってらっしゃーい……んー?」 不味い、非常に不味い! 豆腐に薬味乗せて醤油かけただけの料理では慧音さんに申し訳がっ! 慧音さんの場合それでも喜んで食べてくれるかもしれないけれど…それでは俺の気が済まないっ! 正直な話、慧音さんに助けてもらって以来色々と世話をして貰ったお礼がしたいのだ。 「だから料理を作ろうと思ったわけどすか。」 「そういう事です…」 がっくりと肩を落とす俺の話を聞いているのは阿求さん。 慧音さんと1、2を争う物知りである。 「で、私に何の用で?豆腐は譲りませんえ?」 「俺に是非、豆腐の作り方を教えてくださいっ!」 「へっ?豆腐…どすか?」 「レシピとか書いてある書物とか、貸してくださいっ!お願いします!」 深深と頭を下げて一生懸命お願いをする。 しばらくの間が空いて、 「うーん……ま、ええでしょう。」 正座をしていた阿求さんが立ち上がり、にこっと微笑んだ。 「あ、ありがとうございます!」 「ではこちらに……」 「えーと…これはどういうことで?」 案内されたのは書庫でも土倉でもなく小屋の奥の台所。 状況が飲み込めない俺にきりっとした表情の阿求さんが口を開く。 「豆腐を作る手順は私が覚えとります。」 「はぁ…」 「せやからここで作りましょう、豆腐。」 「こ、ここでですか?豆腐を?」 「はい、ここでどす、豆腐を。」 それから阿求さんの厳しい指導の中、キレイな豆腐が作れたのは夕方だった。 「うん、キチンと形も作れたし…合格あげれますなぁ。」 「やった…ありがとうございました!」 「まぁ、また何かあったら来てな。ウチが力になるさかいに…」 そっと豆腐の入った桶をを抱えて阿求さん家を後にする。 「奥さんによろしゅうなー!」 がっくん!と思わず前につんのめってしまう。 「よ、嫁って……」 まぁ、そんなことより夕食に間に合わないと! 急いで家に帰ると慧音さんがすでに帰ってきていた。夕方まで出掛けてたらそりゃそうなるか。 「ん?なんだ○○、遅かったじゃないか。」 「うん、まぁ色々とね。」 「では、そろそろ夕飯の支度を…」 「待って。今日は僕が夕食を作るよ。」 「ん、そうか。では御言葉に甘えるとしよう。」 慧音さんは優しく微笑むと奥に引っ込んでいった。 「さて、ほかのおかずを…」 「さ、できたよ。」 「お、結構美味しそうだな…ん?ほう、冷奴か。」 「好きなんだよね、冷奴。」 「妹紅から聞いたんだろう?冷奴。」 「まぁね。でさ、感想聞かせてよ。」 「ふむ、では頂こう。」 にこやかな団欒から緊張の一瞬へ。豆腐が口に入る… どうだ?どうなんだ慧音さん…… 「美味いじゃないか!どうしたんだこんなに美味い豆腐を食べたことは無いぞ!」 「そ、そんなに美味しい?」 「ああ、嘘を言うもんか。こんな豆腐どこで?」 「それ、実はね…僕が作ったんだよ。」 「○○が…?凄いな。感心したぞ…」 「慧音さんの好きなものだから…一から作りたかったんだ。」 「○○……」 「好きな人のために頑張るなんて健気だねぇ。」 「なっ!?も、妹紅!?」 ふと窓から雰囲気をぶち壊す知人の声が。二人共ギョッとして窓を見上げる。 「いいじゃんいいじゃん、もっとひっつきなよ。私のことは気にせずにさぁ~♪」 「余計気にするっての。」 「ではそうするか…」 「ちょっと!?慧音さん!?」 「別にいいではないか、いつも二人でいるんだ。今更夫婦になったところで変わらんよ。」 「えっ!?えええっ!?」 「お前は…ダメか?」 「そんなわけ…ないじゃないか。」 「なら、いいじゃないか…」 家の中で二人抱き合う。…見られてるのが恥ずかしいけれど。 「ひゅーひゅーお熱いねぇ♪幸せにな~!あーばよ~っ!」 それから数日後、彼女を慧音と呼ぶようになったのは言うまでも無い。 4スレ目 492(うpろだ0030) ─────────────────────────────────────────────────────────── けーね先生相談室 「なあ、愛ってなんなんだろうな」 「唐突だな。つまり……好き…ってことだろう?」 「じゃあ、俺はけーねを愛してるのか?」 「な!?なにを言ってる!!というより私に聞くな!!」 「慈愛って言葉もあるよな。どう違うんだ?」 「そんなことも分からんのか。要するに"いつくしみ"だ」 「いつくしみってなんだろなあ…」 「そ……それは慈愛のことだ」 「それじゃ永久にループするぞ。もっと他に…」 「うーむ……そう言われてもな…」 「実は大図書館の辞書でもループしてたよ」 「ほう……だったらなぜ私に聞く?」 「別に……けーねと愛について語り合いたかっただけさ…」 「ま、まあたまにはいいんじゃないか? そういう日もある…」 「明日は愛を囁いてみるよ」 「な!? そ、それはどういうことだ?」 「まあ明日を楽しみにしててくれ」 コマンド ・たたかう ・ぼうぎょ rァどうぐ ・ハクタク 4スレ目 498 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「僕のこの気持ちは『無かった事』には、もうできませんから」 →けーね 4スレ目 672
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慧音 必要sp 消費mp 技名 効果 40 20 ファーストピラミット 単体攻撃 50 10 旧秘境史 守備力うp 60 10 幻想天皇 攻反撃 70 20 無何有浄化 全体魔攻撃
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作品名(内容を表すもの):投下された方のレス番 の順に内容を表示して掲載させていただきます。 名無し妖怪+里の人×慧音:1スレ566 預かった子供達のために全てを投げ打って: 卒業式:7スレ705
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慧音9 うpろだ1450 神無月も半ば。 壺中の天地、幻想郷に迷い込んでから丁度季節が一巡した。 そろそろ一着だけ持っている厚めの上着が恋しくなって、早めの昼食を済ませた後家に一棹だけある箪笥をひっくり返す。 しかし出てくるのは夏に着たなりの薄着やら、外へ出向く用のしゃんとしたしわの無い和服。 終いには下だけしかない学生服が出てきた。 何処へしまいこんだか、どうやら脳味噌がありかを勝手に消し飛ばしたらしい。 「おい○○、居るか」 今年は諦めようかとそこらに放りっぱなしの服を畳み始めた時、戸を引いた音と共に朝にも聞いた声が玄関先から居間へ届いてきた。 声の元へ向かうと少しへんちくりんな帽子を被っていて銀髪、地は藍色で、胸元には赤いリボンが結ばれた服を着た女性が立っている。 「あれ、慧音さん。何か用ですか?」 「今朝ちょっと言い忘れた事があってな……」 今朝に何か言い忘れたこの人。……正確には人というか、半獣。 名前は上白沢 慧音と言って何かとよくしてもらっており、頭が上がらない。 特に自分が里でも隅の方にあるこの空き家に住めるよう都合を合わせてくれたことには、感謝してもし足りない。 その恩もあって今は時々慧音さんが教鞭を執る寺子屋の手伝いをさせてもらっている。 「今日はまた人手が欲しくてな、もし手が空いているなら……」 「わかりました、準備もありますから先に寺子屋の方に戻っていてください」 「あー、私も手伝おうか? ○○」 少し脇を見てから心配そうに慧音さんが眼鏡をかけている自分の顔を覗きこんだ。 凛々しい顔と澄んだ瞳がとても魅力的で、もう何度も会っているのに未だ緊張する。 「いえ、それよりそろそろ子供達も来る時間でしょうし」 「……そうか、じゃあなるべく早く来てくれ」 慧音さんが玄関から出たのを見送った後、さて身支度と洗面所で色々整えて居間に戻る。 そして無造作に放りだされたままの惨状を見てから、覗き込まれた意味を履き違えた自分が少し恥ずかしくなった。 「すみません、慧音さん」 「いや、もう過ぎたことだ」 とぼとぼ帰路につく慧音さんの顔はいつもの凛々しい表情に戻っていた。 帰り道があまり変わらない自分と慧音さんは、他愛も無いことを話しながら途中で分かれて…… というのが手伝いのあった日の常であり、今は楽しみでもある。 「まったく、マセた子の扱いには困る」 「たまにいるんですよねぇ。あることないことばかり言う子」 「○○もへらへらと笑っていないで否定してくれ、あれではまるで……」 「すみません、口下手なもので」 ――事は一刻ほど前に遡る。 慧音さんが期限を明後日に設けた宿題を三枚ほど出したときだったか。 自分の下に一人の生徒さんがやって来て「慧音先生と仲がいいなら説得して宿題を減らして欲しい」と懇願してきたのだ。 当然それは出来ないと言ったし、慧音さんも自分の為にならないと強く否定した。 しかしどうやらその生徒さんは昼頃に慧音さんが自分の家に来ていたのを見ていたらしい。 「あれってつまり、そういう関係ってことじゃん!!」と教室の他の子全員に言いふらしてしまったのだ。 慧音さんの顔を真っ赤にした必死の弁解も糠に釘で、結局生徒さん全員を帰らせるまでに宿題が二枚に、という事態にまで陥り―― いつの間にか目前に慧音さんの家が迫ってきていた。 一層冷たい風が庭先の立派なイヌマキの木や自分の背中を押すと急に鳥肌が立ってきて、まだ片付けていない服のことが思い出される。 「じゃあ、僕はこれで。また何かあったら」 「ああ、また……あ、その、待ってくれ」 何ですか、と慧音さんの方を振り返るとまた顔が赤色に戻っていた。 「今晩はその、寒いし、一緒に、鍋でも食べないか?」 俯き加減の林檎顔で自分にそう言ってきた慧音さんがいつもとは違う。 可愛いかかっこいいか、と言われると理知的でクールというイメージを慧音さんに対して常に持っていた。 が、この慧音さんには可憐とかそういう言葉の響きがよく似合っている。 嫌か、とさらに追い討ちをかけてきたが、もちろんふいになどするはずも無く。 「じゃあ、まだ家の片づけが残っているんで、それが済んだら」 「やはり手伝ったほうがいいか? アレ」 「いえ、服ぐらいで慧音さんの手を煩わせるわけには。それに夕食の準備もあるでしょうから」 別れ際の一瞬、視界にこちらを見て穏やかな笑みを浮かべる慧音さんが映りこんだ。 ようやく服を全て箪笥にしまいこみ、ついでにと掃除も終わらせた頃には逢魔が時を少し過ぎていた。 帰り道の誘いに乗っていた自分は慧音さんの家にあがらせてもらい、食卓のある部屋へと連れられる。 すでに卓の中心には鍋、その横に茶碗と小さな器がそれぞれ二つ、箸が二膳。そしてポン酢。 鍋の中には骨のついた鶏肉、キャベツ、シメジ、エノキ、星型に切られた人参が少々……と、今宵は水炊きらしい。 「遅かったな。もう冷めてしまいそうだぞ」 「すみません。あ、これ少ないですけど、具に付け足してください」 「悪いな、気を使わせてもらって……○○も大変だろう?」 「でも、食べさせて貰うだけっていうのは何だか気が進まなくて」 「律儀だな、○○は」 「慧音さん……」 一瞬変な間が開いたが、自分の腹に潜む虫の催促の音がそれを閉じてしまった。 さあ座ってくれ、と微笑みながら慧音さんは自分の背中を押し、自分とは九十度の間隔を取り、敷いていた座布団に座る。 慧音さんが手を合わせたのを合図に自分も手を合わせ…… 「「いただきます」」 後片付けの手伝いをした後、久しぶりの満腹に眠気が起きだしたのか。 気づいたころには庭先からの月明かりだけが部屋を照らし、自分は円卓に突っ伏していた。 背中の外側には厚めの毛布、内側には探していたあの上着が乗っかっている。 ふと縁側を見やると藍色の服と銀髪が淡い光に照らし出された後姿が座っていた。 文学とかいった物にはほとほと縁の無い自分では、陳腐な言葉しか浮かばないのがもどかしい。 「慧音……さん?」 「ああ、起きたか」 「どうやら眠っていたみたいで……」 「あんまり熟睡していたようだから、起こすのは気が引けてな」 慧音さんに振り向かれたまま右手でぽんとこちらに来るよう促されたので、誘われるようにして腰を下ろした。 そのまましばらく互いに一言も交わさずただじっと青暗い空に見ていて、そのまま動かない。 あのイヌマキの枝々の間から明け透けにこちらを覗き込む立待月を、自分もまた覗きかえした。 西への傾き加減から見て、おおよそ今の時刻は丑三つ時から大体半刻過ぎたくらいだろうか。 「綺麗、ですね。ここの星は」 「向こうはそうでもないのか」 「自分の元いたところは街の近くで、夜も昼も関係無しですよ。 その街明かり自体を楽しむ、という趣向まであるくらいですから。『百万ドルの夜景』とか」 慧音さんはこちら側に顔を少し傾けたまま、黙って自分の話を聞いていた。 「だから、こんなにもはっきり星が見えるなんて……」 「意外に○○はロマンチストなんだな。あまりそういう顔には見えないが」 「はあ、顔に似合わないですみません」 「冗談だ、冗談」 見るには外の世界でも苦にならない冬の三角形やオリオン座はもちろんのこと、冬の六角形や一角獣座もそうだ。 どの星座も外とは比べものにならない程はっきりと見えて、改めて本来の夜暗というものを感じれる。 また、縁側に寝そべりながら眺めるとその他多数の名も無き星が、夜空の輝かしさをより一層盛り立てているのもわかる。 「慧音さんはまだ寝ないんですか」 「ん、ちょっと寝つけなくてな。それに明日、寺子屋は……いや、今日はないからな」 薄れ行く意識の中、その後の慧音さんの言葉には生返事だけをずっと繰り返した。 最初に感じたのは、妙な暖かさ。 特に顔の左半分がそうで、それと一緒に弾力性のあるどこか懐かしい感触が頭を支えているらしかった。 反対に右半分には……手? 「起きたか」 母性を感じさせるような柔らかい声が真上から落とされて、一瞬で自分の置かれた状況を把握した。 「あの、慧音さ」 「いい。そのままじっとしていろ」 慧音さんの小さくしなやかな右手が頬を撫でる。 時々手を翻して甲で撫でたり、髪の毛を指で梳いたりとまるで人形の様に扱われている感がある。 ……心地良いことには、変わりないのだが。 ふと探していた上着が何故この家にあったのか、という疑問が浮かんだのと同時に慧音さんが口を開いた。 「○○、あの服を探していたんじゃないのか?」 「……どうしてそれを?」 「お前が私の家に二度目に来た時だったか、『お願いします』と言って私に預けただろう。もう忘れたのか」 ああ、そうだった。 慧音さんが偶然上着のほつれを見つけて、直したら返してやると言っていたのを。 自分はあまり気にしなかったのでどうでもよかったのだが、慧音さんがみっともないと言って聞かなかったのを覚えている。 もう半年くらい前の話だろうか……。 「でも直したら返してやるって言っていましたよね。そんなに時間がかかったんですか」 「別に直すのに時間がかかったわけでは……」 慧音さんも忘れていたでしょ、と出任せのつもりが、無言で頬を抓り上げられた。痛い。 「なあ、○○」 なんですか…… 「これからも、寺子屋を手伝ってくれるか」 へぁ…… 「これからも、晩飯を食べに来ないか」 うぃ…… 「……一緒に、ならないか」 はぃ……って 「えええぇぇぇっ!?」 「お前、今まで真面目答えていなかっただろう」と今度はこちらが隙を突かれ、一気に覚醒状態へと引き戻されて跳ね起きた。 それは、そういう意味ですか、と聞くに右手で紅葉でもくれるかと思ったが、例の林檎顔の額で鼻がさいた。色は言わずもがな。 それでは本来的な意味ですか、と聞くに一人者でいるよりも私と一緒では駄目か、と問いを問いで返されて……。 自分には、最初から迷う術がなかった。 「○○せんせい、さようならー」 「今日の宿題は忘れずにね」 「はぁーい」 今日の寺子屋は誰一人寝ずに終え、慧音さんも満足顔が隠しきれていなかった。 だが手伝いに来ているだけで、今でも自分のような者が先生と呼ばれるのは釈然としない。 これならもっとまともに勉強して……いや、それならこの世界には来ていないし、慧音さんとも……か。 生徒さん達を見送ってから教室に戻ると、入ってすぐ右手の机の下に一枚だけ墨のついた紙が落ちていた。 大きさや内容からして多分一昨日に出した宿題だろう。 子供ながらなかなか達者な字で、答えもすべて合っている。 「慧音さん、コレ、誰かが落としたままでしたよ」 「ああ、一枚だけ見つからないと思ったら……。ありがとう」 奥の部屋の机に座っていた慧音さんの横には、すでに採点済みの用紙が置かれてあった。 渡した紙を見てから「これは採点の必要がないな」と聞こえたので、まあ、当たり前だろうと納得していた。 だが気づいたときには大きなバッテンが書かれ、達者な字は見る影もない。 「ちょ、これ全部正解ですよ!?」 「よく見ろ、○○」 慧音さんの指が指し示すところには……何もなく。 はてと思って他の子がやってきた宿題と見比べると、同じ場所には見覚えのある三、四文字程度の字の羅列。 ああ、これは駄目だな。 自分にもその経験があって笑うに笑えない。 「こういうものは、ちゃんと書かないとな」 「そうですね」 「ところで婚姻届の準備はしたか? まあこっちにもあるから、何時でもいいが」 「ええ…… え?」 慧音さんに意味を問いただすよりも早く口を塞がれてしまった。 左手で腰を、右手で後頭部を、そして口で口を捕らえられた自分には何もできず。 客観的には数秒くらいかもしれないが、自分にはいくら経ったのかわからなかった。 「……っはぁ、こっちの準備も、できていなかったみたいだな? ○○」 「……いきなり、過ぎますよ」 「嫌、だったか」 「嫌なわけ、ないです」 自然と両手が慧音さんの両肩に置かれ、すべてを感情に任せようと力を加えた。 その刹那、人生二度目の衝撃を今度は顎にもらい、暫し悶絶。 今はここまでだ、と慧音さんの要望で婚姻するまでは決して交わらないと約束した。 「……しかし、結婚してからは大変だろうな」 「はい? それはどういう」 「……『律義者の子沢山』という言葉があってだな」 「…………け、慧音さん!」 この後、契りを結ぶまで散々生徒さんからの執拗なからかいを受けたのは言うに及ばない―― うpろだ1451 「けーねせんせー」 「ん?なんだ?」 「けーねせんせーってけっこんしないのー?」 「な!?…な、何を言い出すんだいきなり…」 「だってけーねせんせーびじんだしおかしいよ」 「うーむ、それはだなぁ…まぁ色々とあってな…」 …………………………………………………………………………………………… 「慧音先生、歴史教えてください!」 「よーし、じゃあ歴史の全てを教えてやろう!」 「やったー!」 「…と、こういうわけで反乱が起きて…」 「せんせー? もう習った範囲は終わったよ…?」 「おっと、済まない」(つい熱中してしまった…) 「先生、歴史と関係無い質問しても良いですか?」 「おおう…? なんだ?」 「先生ってどんな男の人が好きー?」 「…!? 何の脈絡もなしに…」 「どんな人ー?」 「そ、そうだな…ありきたりな答えだが、優しい人、とか…」 「優しい人?」 「ま、まぁ今咄嗟に思いつくのはそのくらいだな…」 「わかったー!じゃあ僕、優しい人になる!」 「…へ?」 「それで将来、先生のお婿さんになるー! 先生を幸せにしてあげるんだー!」 「…そうか…まぁ優しい人になりたいって事は良い事だな…」 「先生、顔真っ赤だよ?」 「そ、そういう事は指摘するなっ!」 ―――それから10年後――― 「お、慧音…久しぶりだな…」 「ああ、○○か…また随分と見ない内に大きくなったなぁ、私よりも背が高いじゃないか」 「ま、それだけ時が経ったって事だな… しかし慧音、お前は相変わらず…何というか…綺麗、だな…可愛いし」 「むぅ…いきなりそんなこと言われても困るぞ…///」 「いや、やっぱり慧音は何か魅力的だ…何故か惹き付けられる… あの頃からそうだ…変わらないな…」 「変わってないと言われるのもなんだか複雑だ…」 (もし俺なんかと一緒になっちまったら…俺は…)なでなで 「な、なでられるような年じゃないぞもう…」 「そう言ってるお前が本当に可愛い」ぎゅーっ 「って抱きつくな! …ったく、仕方無いな…」 「見た感じ慧音の反応は面白い」ぐりぐり 「だ、だからやめるんだ…」 「どんな人と一緒になるんだろう、気がかりだ…」 「私は別に…」 (しかし人間である俺は慧音よりもかなり早くに死んでしまう。 愛する人を残したまま死ぬのも、愛する人を先に失うのもつらい… 何故人間の神はこんなにも非情なのだろうか…お陰で慧音に告白しづらいんだよなぁ…) 「ん?どうかしたのか…?」 「…慧音、もし俺が…慧音の事、好きだって言ったら…どうする…?」 「…わかってる、昔からそんな事言ってたのをしっかり覚えているぞ……先生として私も好きだ」 「…だよな、例え俺が本気で愛しt…いや、やめておこう…これで良いんだ… あの頃に比べて俺は大人になった。大人になってしまったからこそ、気づいてしまったのさ… いずれ俺が先に死んでしまって、愛する人を悲しませてしまうのなら…いっそこのままで… …っと、どうやら帰りの乗り物が来たようだ。…じゃあな……まら、会えたら…… …はぁ、何でもない、ぜ…」 (くそ…こんなにも胸が苦しくて辛いのに、成す術がない… でもこれで良かったんだ、これが最善の策なんだ…これで、俺は…) 「あ、ああ…さようなら…またいつか会えるぞ、私はいつでも待ってるぞー」 「…なんで私はあんな事を言ってしまったのだろうか どうして私は… ……また、会えるよな… その時は… …私は待ってるからな、○○…」 しかし○○が慧音のもとを訪れる事はもうなかった。 慧音が○○を捜しに行っても、もうどこにもいなかった。 …………………………………………………………………………………………… 「…という夢を見たんだ、霊夢」 「そう…」 「これは一体なんだろうな、わかるか? 霊夢」 「うーん…もしかしたら、誰かの歩んだ人生なのかも…」 「誰かの歩んだ人生…? まさか前世…とかな」 「かもしれないわね」 「………」 「………」 「…行って来る」 「…お幸せにね」 俺は人里へ辿り着いた。 ある人物――正確に言うと人ではないが――を捜す為に。 そして見つけた、途端に心臓が激しく脈打った。 「はぁ…最近の子供は一体何を考えているんだ…」 向こうはまだこちらに気づいてない。 全身が、早くしろ、早く声をかけろ、と、訴えかけてくる。 「…昔を、思い出したな…」 過呼吸になりそうで、死にそうだ。 俺は、深呼吸をして少し落ち着かせてから慧音に話しかけ… 「あ…」 慧音は俺が話しかける前にこちらに気づいた。 しばらく流れる沈黙…俺の口が自然と動いた。 「久しぶりだな、慧音」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 慧音はいきなり泣き出した。 俺はあわててかけより、慧音を支える。 「ちょ、慧音!? 大丈夫か…?」 「う…ひっぐ……だ、だいじょうぶじゃない…」 「参ったな…どうしようか…」 「ち、違う!悲しいんじゃないぞ…う、嬉しいんだ…!」 「な…に…?」 「待ってた、ずっと待ってたぞ…!」 ―――そうか。 あの夢は本物だ。 俺はつらくて二度と慧音と顔をあわせられなかった。 だから慧音を訪ねる事はできなかった。 しかし、今度は逆に慧音が訪ねてきた。 俺はほぼ反射的に、身を隠して、逃げたんだ。失踪したんだ。 ――後悔、したんだ。だからあの夢は俺に知らせてくれた。 次はそんな事ないように、と。 今俺の腕の中にある、暖かくて、簡単に壊れてしまいそうな柔らかい身体は寂しさにずっと耐えてきたんだ。 濃い焦がれた相手がいなくなる、という事を、もう慧音は経験したんだ。 俺が幸せにしてやらなくてどうする、今度はずっと一緒にいてやるんだ。 この身が、朽ちるまでな。 慧音が身をすり寄せながら耳元で呟いてきた。 「会いたかったぞっ…!」 ―――――fin.
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慧音3 5スレ目 831 836 里で悪戯をしていた⑨を無何有の里まで送り届けたけーねだったが、帰り道で吹雪の雪山で遭難してしまった。 辛うじてボロ小屋を見つけて避難したものの、火種も無ければ食料も無い。無事に今晩を乗り越えられるかどうか…… 「ハァ……。どうしてこんなことになってしまったんだろう……」 寒さを凌ぐために体育座りよろしく丸めていた身体を起こし、顔を上げて窓の方をうかがう。 凍りついた窓の外には無気味に広がる暗闇の中でわずかに雪が見える。風でガタガタとドアが揺れている。 「……あいつは今頃何をしているんだろう」 彼のことを考えると、心が少し温かくなるような気がした。 「私がこんな目にあっているなんて……知らないんだろうな……」 彼女はクスリと笑った。 「私が里を護るなら、自分は私を護ると大口叩いたくせに……助けに来るんじゃなかったのか……バカ」 ポツリとつぶやいた。目が潤んでくる。何故だろう、拭っても拭っても次から次へと溢れて凍っていく。 少し疲れているのか、それとも寒さにやられたのか、頭の中で彼が自分に呼びかけてくれているような気がした。 「……こんなことなら、もっと優しくしてやるべきだったのかもな……」 心の中で響く彼の声が次第に大きくなっていった。 「白沢時ならともかく、人間の身体でこの寒さは厳しいか……幻聴が聞こえるなんて、私も長くは無いな……」 そう思うと次第に眠気が五感を襲い、自然と大きなアクビが出る。 「……ふぁ……さすがに今日は疲れたな……」 次第にゆっくりと瞼を閉じていった。彼のことを思い浮かべながら、私は覚めることの無い深い眠りに落ちていった…… と思ったら、小屋の扉がドンという衝撃音と共に勢い良く開いた所でハッと我に返り、ドアの方を見た。 「……幻聴の次は幻覚か…?」 私は目を疑った。そこには私が思い浮かべていた人物が立っていた。彼は私を見ると、ニッコリと笑った。 「慧音!!良かった……無事で……」 そう言うと、彼はその場にバタリと倒れた。急いで私は彼の元へ駆け寄った。 「バカ者っ!どうしてこんなところにこんな薄着で来るんだ!顔が真っ青じゃないか!」 彼の格好はジーンズに長袖の上着だけという雪山とは到底かけ離れた格好で、マフラーや手袋や防寒着の類は何一つ纏っていない。 「……俺がここに向かったことは……妹紅に言ってあるから……すぐに救助の人が来てくれるハズだ……問題ない」 彼は息を弾ませながら言った。 「大ありだ!私のことよりも自分のことを心配しろ!…まったく、お前という奴はいつもそうだ……」 けれども私の心はポカポカと温かくなり、頬を伝わってこぼれた涙が彼の頬を伝った。 「……まさか膝枕して貰える日が来るとはなぁ……」 「こんな時に何を言っているんだ」 「……目が真っ赤だ。らしくないな」 「バカ……誰のせいだと思っているんだ」 彼は再びニッコリと笑って私の頬を伝わる涙を手でふき取った。次の瞬間、その手がパタリと地に落ちた。 「……何の冗談のつもりだ?」 彼の体を揺らして見るが反応が無い。 「……おい、返事をしろ!」 次第に激しく揺すってみるが、彼は目を開こうとしない。 「どうした…起きろ!こんな所で寝たら…」 揺すりながら、私の目から涙があふれてきた。 「バカっ!起きろと言っているだろ!…これ以上…私を悲しませないでくれ……お願いだ…」 私は泣きながら彼の体を力強く抱きしめた。その体は恐ろしいほど冷たかった。 しばらくそのままでいると、彼の頬だけがほんのり温かくなった。 「(もしかすると……)」 ある考えが頭の中をよぎった。私は彼の腕をさすり続けた。すると頬と同じようにそこも温かくなっていった。 体中を暖かくすれば、もしかすれば彼は助かるかも知れないと思った。 しかし手だけでは埒が明かない。その間もどんどん彼の体は冷えていく。 「(そういえば、こういう時は地肌で体を温めあうのが一番良いと効いたことがあったような……)」 そこまで考えて、私の顔は火が付いたように熱くなった。妹紅ではないが、たぶん耳まで真っ赤だろう。 「(じっ地肌で暖める!?そっそんなことっ、出来る訳が無いだろう!)」 けれども、彼の命には変えられない。 「(しかしっ……もし途中で目覚めてしまったら……)」 ちらりと彼の方に目をやった。彼はほとんど息をしていないように見えた。 「くっ……今回だけ特別だからな…?」 そう自分自身に言い聞かせて、ゆっくりと自分の服に手を掛けた。 (省略されました。母親に風呂入れと急かされているので、続きを読むには中の人が風呂からあがるまで待って下さい) ………………………… 俺はゆっくりと目を開けた。 「気が付いた見たいね」 「まったく、心配ばかり掛けさせて……」 枕元には慧音と……誰このおbsn ギロリ 「おおおおねいさん(←なぜか変換できない)は誰ですかっ!?ていうか、ここどこですかっ!?なんで俺連れてこられたんですかっ!?」 何だか得体の知れない殺気を感じたので必死で命乞い。何者だこのおねいさん。 「私は八意永琳。ここは永遠亭。あなたは雪山で体中が冷え切って、凍死寸前の状態でここへ運び込まれたのよ」 「そうなのか~」 慧音を探しに雪山へ行った所から先は全然覚えていないが、大方途中で野垂れ死んでた所を慧音にでも発見されたんだろう。 「まったく……お前は本当にバカだな。私を助けに来たくせに、ミイラ取りがミイラになってどうする」 「でも、貴女の適切な処置のお陰で回復は順調よ? あとは安静にして体力が回復するのを待つだけね」 「ふーん。よく覚えてないんだが、慧音の処置が適切だったお陰で俺は命拾いしたって訳か」 「……本当に覚えてないのか?」 覚えてないものは覚えてないんだ。疑い深いなぁ…… 俺が気を失っている間に何かしたのか? 「ああ、慧音が遭難したって新聞屋から連絡が来た時はもう無我夢中で……気が付いたらここにいたんだ」 「そうか……それなら別に良いんだ」 「……そういえば、なんだか夢を見ていたような気がする」 「夢?」 「なんだかとっても温かくて気持ちいいお湯につかっているような……それに時々声が聞こえた」 「もしかして彼女の?」 「そうそう、ずっと慧音の声が聞こえて、気が付いたらここで寝ていたという訳さ」 何だか慧音の顔が赤いが、雪山の寒さにやられて風邪でも引いたか? 「あらあら、慣れないことはするものじゃないわねぇ~」 「そっ、そんな事は私の勝手だろう!」 「何しろウチに着いてからも、彼をお風呂に入れて暖めようt……」 「わぁーーーっ!!!わぁーーーっ!!!!」 そのまま慧音は永琳の背中を押しながらドスドスとドアに向かい、部屋の外へ永琳を押しやるとバタリをとドアを閉めて、クルリとこっちを振り向いた。 「ハァ……ハァ……わ、私はそろそろ帰ることにする。今日はゆっくりと身体を休ませることだ。無理をしたら承知しないからな?」 「あ、ああ……わかったよ。心配かけて済まなかったな」 「まったく……。それじゃあ失礼するが、何か食べたい物はあるか?」 「え? これと言って特には無いけど、強いて挙げるなら何か果物が食べたいな」 「分かった。明日も見舞いに来るから、それまでに考えておくことにしよう。……探しに来てくれてありがとう」 そう言うと、慧音はドアを開けて部屋を後にした。 その時かすかに「嬉しかったぞ」と呟いたように聞こえたが、扉の閉まる音に掻き消されてよく分からなかった。 完 お粗末様でした 5スレ目 894(うpろだ0064) 最近里に客人が来ている。幻想郷の外から迷い込んだ男だ。 里での仕事を紹介し、住む家の手配をしたのは私だった。 畑仕事などには慣れていないようだったが、しばらく仕事を教えるとすぐに要領を掴んだ。 今では里でもなかなか重宝がられている。 その男が今私の目の前にいる。ついでに酔っていた。 「黙ってすわればピタリとあたる!!」 そういって男は、私を無理やり切り株に座らせてから酒をあおった。 なぜこうなったのかわからないが、酔った彼をこのままここに放置していくわけにも行かない。 満月の光を浴びて異形と化したまま私はこの男の酔いが醒めるのを待たなければならなかった。 「酔ってるのか?」 分かりきったことを聞いてみる。「酔ってない」なんて言うようなら泥酔確定だろう。 「あぁ? 姉ちゃんだって酔ってるじゃないか。小粋な角なんて生やしちゃって」 「…………」 十二分に酔っていた。そして彼は異形に気がついていた。 それはそうだろう、こんなに目立つ角に気がつかないわけがない。 だが、きっと私が上白沢慧音であることに気がついていない。 彼はいつも私を『慧音ちゃん』と呼ぶ。 それだけが、私にとっては大きな救いだった。 「おあ? なんだ?」 「いや、なんでもない……」 「おいおいおい。人がせっかく気持ちよく酔ってるってのに辛気臭い顔しちゃいかんよ」 「す、すまない」 「遺憾に思います」 「…………」 「だっはっはっはっはぁ~」 なにが面白いのか、さっきからこの調子なのだ。つまらないことをいっては膝をたたいて笑う。 笑い上戸らしい。 「私は何をしているんだろう?」 まったくわからなかった。 「だいたいよ姉ちゃん。里から外れたこんなところにいちゃ危ないよ。 この辺は妖怪が出るんだぜ? 俺なんてこのあいだな。箒に乗って飛ぶ黒白の妖怪見たんだぜ」 「いや、それは妖怪では……」 「あの妖怪は俺を食わなかったけどな、手持ちの酒を全部掻っ攫っていきやがった」 「あぁ、だからそれは……」 魔理沙らしい。なんとなく、その現場が目に浮かぶ思いだ。 「まったく……ひどい目にあった。 っておいおいおい。人の不幸笑っちゃいかんよ姉ちゃん」 「え? いや、すまない。笑ったつもりは……」 「遺憾に……」 「それはもういい」 そうして男はまた大口を開けて笑った。 「それにしても姉ちゃん。こんなとこで何してたんだい?」 「別に何かしていたわけではない。この異形の姿を誰にも見られたくなかったんだよ」 「おぁ?」 「なんでもない」 意外なほどさらりと言えたことばに自分自身が驚いていた。 それは彼が異形の姿を恐れていないからなのか、酔っ払いだからなのか…… 「まぁなんだ? 要するに悩みがあるのか?」 「まぁ……そういうことだ」 「そうかそうか。なんだ? 相談に乗るぜ? おっちゃんに話してみな?」 「いや、私自身の問題だ。あなたに相談することじゃない」 「そうかい? まぁいいやな。 もしその姿が気になって、里の人間に引け目を感じているならそんなの気にする必要ないんだぜ? 『慧音ちゃん』」 !! 「気が……ついていたのか?」 「そりゃ気がつくさ。慧音ちゃんみたいな別嬪さん見間違えたりゃしないよ」 「ふふ……人が悪いな○○は」 「酔っ払いだからな」 「そうか……」 彼はこのことを里の人間に言うだろうか? 言わなかったにしても、これから先彼の私を見る目がきっと変わるだろう。 なぜかそれが一番悲しかった。 「そんな顔しなさんな。ほれ、呑みな」 「あ、ああ」 「こうやって差し向かって酒呑むのははじめてだなぁ」 「そうだな」 「神社の宴会じゃ静かには呑めないものなぁ」 「あぁ。あそこは賑やかだ」 「……なぁ慧音ちゃん」 「なんだ?」 「酒。美味いだろう?」 「あぁ」 「酒の容器がよ、まったく別のものだとしたら、中身の味は変わるのかね?」 「馬鹿な。そんなことはあり得ない。容器が何だろうと中身に影響はしないだろう?」 「どうしてそれが、慧音ちゃんには当てはまらないと思うのかね?」 「歪な容器は誰も手に取りたがらないということだ」 「だが、里の皆は酒が美味いことを知っている」 そうかもしれない。だけど私は…… 「怖いんだ。この姿を見た里のみんなの目に恐怖が宿るのが。 あなたは怖くないのか? この異形の私が」 「怖い? 何を怖がれってんだい? 慧音ちゃんは里での生活の世話をしてくれた、子供たちに字や歴史を教えていた。 それに里を守っていた。 そんな慧音ちゃんの姿形が変わったくらいで何を怖がれってんだい?」 男は笑う。大口を開けて、何か面白い冗談でも聞いたように。 そうして一通り笑うと立ち上がって私の頭を撫でた。 酒のせいか、それとも元々そうなのか、その手は暖かく優しかった。 「もし里の皆が慧音ちゃんにひどい仕打ちをするなら俺が守ってやるよ」 心配ないだろうがね。と、付け加えて里のほうに向かって歩き出した。 「お、おい。酒が……」 「あ? おいおいおい。酔っ払いにこれ以上飲ませてくれなさんな。 慧音ちゃんにあげるよ。酒でも飲んで心を落ち着けてみな」 そういい残して、思いのほか軽い足取りで坂を下っていった。 それにしても…… 「『守ってやる』か……嬉しいこといってくれるじゃないか」 自分でもそうとわかるほどに口角が上がっている。きっと締まりのない顔をしていることだろう。 「……よし。明日、今夜の礼に弁当でも作って持って行こう。 いつも握り飯だけ持って野良仕事をしていると里の皆も言っていたしな」 なんとなくうきうきしながら私は静かに手酌で酒を飲んだ。 酒はとても美味かった。 5スレ目 900 「本当に、お前がいてくれて助かるよ」 唐突に、慧音が言った。 卓袱台には、紙や糊、はさみが乱雑に置かれている。 今、俺と慧音は、次の授業で使うための教材作りをしている。 何も知らない人に歴史を教えるのは、結構工夫がいるのだ。 「なんだ? いきなり」 「いや、私一人だったらきっと挫折していただろう。 歴史の話をできる人間が側にいるというのは、本当にありがたいと思う」 「よしてくれ、俺の方が世話になりっぱなしなのに」 幻想郷に来てほぼ2年。 何もわからなかった俺の面倒を見てくれて。 本当に慧音には世話になりっぱなしだ。 「少し疲れたろう。休憩にしよう。 お茶でも注いでくる。今日は、妹紅が良いお茶を持ってきてくれたんだ」 そう言って、立ち上がる慧音。 俺も手を休ませて、背後の台所からの香りを待つ。 コポコポコポ ほのかな香りが部屋に満ちる。 こちらに来るのも時間の問題だろう。 だが。 カタッ 俺の右前に、お茶はお盆ごと置かれた。 そして、背中から両手を回して、しなだれかかってくる慧音。 やわらかい頬は、俺の頬に寄せられ、 まるで頬同士でキスをしているかのようだ。 「慧音?」 「幻想郷の歴史もいいが――。 そろそろ、私たちの歴史も、新たな1ページを刻まないか?」 「え?」 「惚れた性、とでも言うのかな。 いつも、こんなに独り占めしているのに、もっともっとお前を求めてしまう。 全てを曝け出したことだし、いいだろう?」 「あ、あれは俺が風呂に入っていたところに慧音が!」 「おや、私はそんなこと言ってないぞ?」 そう言って、悪戯っぽく微笑する慧音。 「くっ、だまされた」 「でも、責任、取ってくれるのだろう? あの時約束したしな」 「ああ、もちろん。 ……実は、今日、慧音に渡そうと思っていたんだ」 胸のポケットから指輪を取り出す。 村の小物屋に誂えてもらった特注品。 シンプルな銀の飾り模様の中心に、青いスターサファイアを配した一品だ。 スターサファイアの宝石言葉は、慈愛、誠実、賢明、徳望。 これほど慧音に似合うものはない。 「これは――、高かっただろう?」 「慧音のためだから。 それに、プロポーズの指輪が安くちゃ話にならないだろう?」 指輪を掲げ、 「さあ、手を出して」 「あ、ああ。 でも、なんだか照れるな。 ……と、こうか?」 慧音の、左手の薬指に指輪を填める。 その指輪は、慧音の白魚のような指に、まるでそこが本来の居場所であるように、よく映えた。 「ああ、やっぱりよく似合ってる。 ……慧音、結婚してくれないか?」 「喜んで、受けるよ。 でも、この宝石じゃなくても、浮気なんてしないぞ。 私はお前一筋だからな」 「え?」 「知らなかったか? サファイアのご利益は浮気封じだぞ」 そう言って、くすくすと笑う慧音。 まったく、かなわない。 すでにお茶は、すっかり香りを飛ばしきっていた。 そして――。 数年後。 そわそわと居間で落ち着かない俺。 そこに、妹紅が入ってきた。 「生まれたわよ! 女の子! 母子ともに健康だって!」 「そ、そうか!」 そう言って、産室へ駆け出す。 大きく足を踏み鳴らしながら、廊下を走る。 ガラッ 襖を開けると、満面の笑みを浮かべた慧音がいた。 「また、私たちの歴史に新たな1ページが刻まれたな」 「慧音、よかった……。本当に、良かった……」 「これしきで泣くな。 私は、あと51ページは刻んで、徳川家斉を超えるつもりなのだからな」 「ははは、それはがんばんないとな」 泣き笑いのようになってしまって、上手く言葉が出てこない。 俺たちは、限りなく幸せだった。 6スレ目 648 ぐもんしきで『けーね先生の頭突き』が少し話題になってるみたいですが… そこで、風邪を引いた時なんかには慧音先生に 「どうした?熱でもあるのか?」 とか言っておでこでおでこをコツンと頭突きしてもらいたい。あれ、日本語がおかしい。 里のやんちゃな童子に説教をする慧音先生。 童子が聞き分けの無い事を言ってそっぽを向くと、けーね先生はその子の頭を、すっと掴んで正面を向かせて 「こら、私の話をちゃんと聞いているのか?」 とか言いながらおでことおでこをコツンと頭突きしたりして欲しい。あれ、文法が変。 そんな慧音先生の教育を受けて育ちたい。 7スレ目 282 「慧音先生!貴方と同じ時間を歩む為なら 千の妖怪の血すらも浴びて見せます!!」 7スレ目 288 夜風に当たりながら慧音と晩酒 もう桜は散ってしまったがそれでも隣に愛しい人がいるだけで酒が進む 「風が気持ちいいな今日は晴れてるし月が綺麗だ」 「ああ、もう春だからな桜も散ったし そろそろ暖かくなるだろう」 「まあちょっと前までは寒かったしな そうそう、そういえば慧音寒いからって俺の布団に潜り込んで来たよな」 その時の慧音の行動は今思い出しても可愛かったな 真っ赤な顔をして「その・・・寒いから一緒に寝てもいいか?」だもんな 「な!?んなぁ!!////は、恥ずかしい事思い出させるな!」 「そうか?俺は普段甘えてこない慧音が甘えてきて嬉しかった」 「う、うぅあんまり虐めるな、恥ずかしいだろう」 「あはは、かわいいぞ慧音、愛してる」 「あ、ああ私もだ」 うpろだ194 真っ暗な闇の中。 青い髪の少女は幸せな顔で。 「好きだ」と。 言った。 そしてその目を。 ゆっくりと閉じた。 ◇◆◇ その少女は青い髪をしていた。 不思議な帽子を被っていて、村で先生をしていた。 俺は彼女に一目で恋をした。 人の世でも、こんな腐れた世の中にも美しい人はいるんだって。 俺は彼女に近づこうとした。 勉強をして、体を磨いて、己を磨いた。 だけど、まだまだ俺はガキだった。 そんな者に彼女が振り向いてくれるわけない。 まだだ。 まだだ。 彼女が振り向いてくれない。 なんでだ。どうして。 俺はこんなに頭がいいぞ。 俺はこんなに力があるぞ。 村を歩けば女共は俺の方を向くぞ。 なのにどうして。 お前は俺のほうを向いてくれない。 「お前は慢心が過ぎるな。少し、自分を見つめなおせ。恋だのなんだのいう話は、それからだな」 慢心が過ぎる? ふざけるな。こんなの認めないぞ。 ふざけるなふざけるなふざけるな。 こんな理不尽なことは認めない。 お前が俺を認めてくれないなら。 認めさせてやるさ。 俺は強いんだ。 力があるんだ。 ◇◆◇ 月のない夜。 俺は慧音を山に連れ込んだ。 妖怪がいるという、山。 強い妖怪だという。 それを俺が倒して見せれば。 慧音、お前は俺を振り向いてくれるだろう!? 登る登る。 山を登って、見つけた。 妖怪だ。俺よりも、慧音よりも、ずっと大きい。 蛇のような姿をしていた。 「あれか?」と慧音は訊ねる。 答えずに俺は飛び出した。 家から持ち出した刀剣を持って。 村長からもらったものだ。 妖怪を退治するといったら、くれたものだ。 「○○はほんに勇敢じゃのぅ」 村長は言った。そうさ、俺は勇敢なんだ。強いんだ。 慧音、お前にそれを見せてやる。 俺は飛び出した。 大声を上げて、刀剣を振り下ろした。 妖怪にそれは突き刺さる。 妖怪は悲鳴を上げて倒れこんだ。 「どうだ! 慧音! 俺は強いだろう! さあ、俺と結婚するといえ! 俺と一緒になれ! 一緒に暮らせ!」 「……○○っ! そこをどけぇっ!!」 何を言っているんだ。慧音! さあ、早く言わないか。俺と一緒になると! 何でそんな顔をするんだ。 何で俺に向かってそんな顔をするんだ。 頭がこんがらがって。真っ白になった。 強い衝撃が俺を襲った。 木にたたきつけられた。 肺から息が搾り出される。 心臓が止まった気がした。 かすかに辺りには血のにおいがした。 衝撃に閉じていた眼を開けると。 慧音が立っていた。 俺に背を向けて、両手を広げて。 その身体は、妖怪の口に半分以上飲み込まれていた。 傷口からは止めどなく血が溢れて、地面を汚している。 なんで。お前はそこに立っている。 俺は強いんだ。助けなんて必要ない。 何でお前は。俺を守るんだ。俺は強いんだ。 妖怪の攻撃なんて。見なくても避けられたのに。 何で。 「吹き飛べっ! 終符“幻想天皇”!!」 閃光に俺はまた目を閉じる。 轟音と絶叫と断末魔。 耳も閉じたかった。でも全ては一瞬の出来事で、そんな暇はなかった。 また目を開ければ閃光も妖怪も何もなく、青い髪の少女は地面に倒れ臥していた。 ◇◆◇ 「……ああ…………○○……無事だったか……。 ………………………………よかった…………」 何が良かっただ。そんなに血塗れになった。 何が良かっただ。俺は強いんだ。助けなんて必要なんてなかった。 勝手に助けて、そんなに血塗れになって。何が良かっただ。 「…………泣くな……………………○○…。 私がかっ…………てに…………した……ことだ」 泣く!? 俺がか!? こんなに強い俺がか!? 笑わせるな、俺は強いんだ! お前に守ってもらわなくてもいいんだ! 「そうだな……お前は…………強いな…。 しって…いる、ぞ。…………いつも…自分を磨いて…………いたな…」 そうだ! そうだそうだ!! だから!! そんな顔するなよ。 泣くなよ。 幸せそうにするなよ。 なんだよ、その顔。 幸せそうじゃないか。 だめだ、お前はこれから幸せになるんだ。 俺と一緒に幸せになるんだ。 やめろよ。その顔 まだお前は全然幸せじゃない。 だから泣くなよ。 幸せそうな顔するなよ。 まだ幸せじゃないだろ。 俺が幸せにするんだから。 嬉しそうにするなよ。 お前は俺が守るんだ。 守ってやるんだ。 その時に嬉しそうにしろよ。 俺が守ってないのに嬉しそうにするなんてずるいじゃないか。 「……わた…し……は。……しってい……る…………。 おま……え…………の……き、もち…………。 好き……だと…………むか…………し…、いっ……ていたな。 このさ……い…わたしも…………いっておこ…………う」 いうな! そんな言葉今聞きたくない! お前その言葉言ったらどうする気だよ!? 諦めるのか!? 許さないぞ!? お前は俺と幸せになるんだ。 それ以外認めない。認めない! 「……………………○○……」 黙れ黙れ黙れっ!! 「……好きだ…………………………………………」 7スレ目 600 610 「うーす、ただいまっと」 靴を脱ぎながら、家の奥にいるであろう慧音に話しかける 「今日の晩御飯は何だ?」 慧音は予想どうり居間にいた 「ああ○○、帰ってきたのか……」 少し元気がないように思えるが、それよりも台所からのおいしそうな においが気になった 「で、なんなんだ?」 「まぁ、その前にそこに座れ」 やはり少し変な感じだ、まさかこの前のちょっとした青春の暴走がばれたのだろうか、そうなると頭突きではすまないかもしれない 「で、どうかしたのか?」 俺は動揺を悟られないように普通を装った 慧音は少しためらいを見せてから 「今日はどこに行ってきたんだ?」 そう言った 「は?」 俺はかなり拍子抜けしたが 「いや、妹紅と山菜を取りにいっていたけど」 「そうかなら、昨日はどこに行っていた?」 「湖で釣りしてたけど、ああ確かチルノ達がいたな」 「なら一昨日はどうしてた?」 「神社に行ってたよ、それがどうかしたのか?」 結局慧音が何を言いたいのか分からない 「じゃあ、最後に私と出かけたのはいつか覚えているか?」 「あーー、最近出かけてないな一週間前ぐらいか?」 「十日前だ……」 ここでやっと何が言いたいのか分かった 「つまり、どこかに連れて行けと」 そういうと目に見えて慧音は動揺した 「な、なにもそうは言ってないぞ、まあその少しくらい二人の時間を……」 「じゃあ明日は二人でどこか行こうか?」 「だ、だから、別に催促してないぞ、それに明日は寺子屋があるし」 「じゃあ無理か、残念だなあ、慧音とデートしたかったんだけどなあ」 そう言いながら俺は立ち上がって台所のいい匂いの元に歩いていこうとした すると俺の服の裾をつかまれた 「あ、明後日は休みだ、だからその……」 俺は慧音がすごくかわいく見えて頭をポンと叩いて 「じゃあ、明後日は二人で出かけような」 と言った 慧音はうれしそうにうなずいた 「所で○○、さっき座らせた時に態度がおかしかったが 何か隠してないか?」 機嫌のよくなった慧音が食事中にたずねてきた 「ゲホッ!な、何もないよ」 煮物を噴出しそうになりながら俺は答えた 「そうか、私には言えない事か……」 さっきまで機嫌がよかったのにまた暗くなってしまった そこで俺は渡すものがあったのを思い出した 「ああそうだ、慧音にプレゼントがあるんだよ」 「え、本当か?」 何かすごく嬉しそうだ 「あぁ、これなんだが、ちょっと前に作ったんだが、忙しそうにしてたから 渡せなくてな」 そう言って俺は紙袋から洋服を取り出した 「俺が作ったからそんなに良いもんじゃないけど、それでももらってくれるんなら」 そういって渡すと慧音は胸に抱くように洋服を持ち 「もらうに決まっているだろう、せっかく○○が作ってくれたのだ。返せと言われても返さんぞ」 今までに見たこともないほどはしゃいでいた 「そんだけ喜んでもらえたらこっちも苦労した甲斐があるよ」 本当に苦労したからな、本当に 俺がちょっと苦労を思い出していると慧音は何か疑問に思ったらしく 聞いてきた 「ところでなんで○○は私の服のサイズを知っているんだ?教えた覚えはないが……」 空気が少し寒くなった、 「いやだなあ、教えてもらったよ。うんマジで」 俺は動揺がばれないように普通を装った 「……」 「……」 「……」 「……」 「○○」 「はい、すいませんでした、前に昼寝してるときにこっそり測りました」 俺は頭突き覚悟で答えた 「……まあいい、これのためと言うなら水に流してやろう」 「よかったぁ」 本気で頭突きじゃすまないかもって思っていたからな 「全く、私に聞けば済む話じゃないか」 「いやぁまあ、驚かしたいってのもあったし、後その立派な胸を測ってみたかったって言うのもあって……」 俺はまた空気が寒くなるのを感じた 「○○」 「はい」 「頭を出せ」 「はい……」 慧音の顔が近づいてくる 「いくぞ」 俺は目を閉じ衝撃に備えた が予想した衝撃は来ず、不思議に思い少し目を開けると 「……!」 唇に柔らかい感触が当たり、慧音と思いっきり目があった そして慧音は顔を引いて 「今回これで許してやる」 その後食事を再開したが二人して真っ赤なになってしまい会話もできなかった 7スレ目 623 625 「全く、せっかく新しい服を着てきたというのに釣りとはな」 慧音が呆れたように呟く 今日は一昨日約束していたようにデートに来たのだが少し慧音が不機嫌だ 「まあいいじゃないか、俺は慧音がいればそれでいいぞ」 すると顔を赤くしながら 「それは私もそうだが……しかし」 「それにさ今日は別に目的もあるんだぞ」 「ほう」 何かまた不機嫌になったが 「この湖は新月の晩に怪物級の大物が釣れるらしいんだ」 「はあそれが本音か……まあお前の釣り好きは分かっていたがな」 慧音はあきらめたようにため息をついた そうこうしているうちに正午になった 「そういえばさ慧音、朝から弁当作っていたよな」 今日朝起きたらいい匂いしてたからな 「ふふ、期待していいぞ。今日は気合を入れて作ったからな」 そう言って慧音は誇らしげに包みを取り出した 「なんかでかくないか?」 明らかに二人分にしては大きすぎる 「そうか?まあ大丈夫だろこっちは夜食の分だし」 それでも多いと思うがな 包みを開けると色とりどりのおかずとおにぎりが並んでいた 「うまそうだな、さすが慧音だな」 慧音は照れたように 「いっぱいあるからな、腹いっぱい食べるといいぞ」 とうれしそうに言った すると上から声が聞こえてきた 「○○~!なにやってんの?」 チルノが俺たちを見つけて降りてきた 「ん、釣りだよ。んで今は食事中」 「ふ~ん、それおいしそうね」 チルノが俺の持っているおにぎりを指差して言った 俺は差し出しながら聞いた 「なんだ、食べたいのか?」 「いいの?」 「いいよな?慧音」 そう言いながら慧音をみると 「……ああかまわないぞ」 少し声のトーンが低かったが慧音はそう答えた 「ほらチルノ」 「ん、ありがとう○○、慧音」 チルノはうれしそうに大きく口を開けておにぎりをほうばった 「……」 「どうかしたか?慧音」 なんかまた少し機嫌が悪くなっている 「なんでもないぞ……」 「そうか?ってチルノ急いで食べすぎだ、ほうにご飯粒ついてるぞ」 そう言いつつ俺はご飯粒を取ってやった 「……!」 「ん……。ありがと○○」 「ああ、ん、慧音?」 何かなんかさらに機嫌が悪くなってる 「どうした?おにぎりの具で嫌いなものが当たったか?」 「……なんでもないって言ってる」 「?、まあいいけどな」 その後慧音が静かなまま昼食は終わった 何かやたらと慧音の頬にご飯粒がついていたけど 食事後不機嫌なままの慧音とチルノにはさまれながら釣りをして 「ねえ、○○まだ釣りするの?」 チルノが首にまとわりつきながら聞いてきた 「今回は夜が本番だからな、まだまだいるよ」 「ふーんあたいはお腹いっぱいで少し眠くなってきたよ」 「なら少し寝るか、ほらひざに乗っていいぞ」 「な……」 慧音何故か驚いていたけどチルノがひざに乗ってくる 「んふふ」 「なんだよチルノ」 ひざの上でチルノが変な声を出す 「○○のひざなんか気持ちいい」 「そうか?まあひざぐらいならいつでも貸してやるぞ」 「そうなのか!○○」 慧音が何かいきなり大きな声で聞いてきた 「ああ、って何で慧音そんなに驚いてるんだ?」 「い、いや別になんでもない」 慧音は平静を装うとしていた まあそんなこんな日が暮れてチルノは帰り本番の夜が来た 「なあ○○、少し寒くないか?」 確かに春とはいえ夜になると少し寒い 「ああ、ちょっとな」 すると慧音は少しためらったようだがこちらに近づいてきた 「○○ひざいいか?」 「は?」 一瞬頭が真っ白になった 「だからひざに座ってもいいか?と聞いたんだ」 「いやそれは……」 俺が答えに詰まっていると 「何故だ?チルノにはいいって言っていたじゃないか!」 慧音は少し声を大きくして聞いてきた 「チルノは子供だからであって、慧音は……」 そういって慧音を見ると少し涙ぐんでいるように思えた 俺はそれを見て 「わかった、ほら」 とひざをさし出して慧音を乗せてあげた 髪からはいい匂いがするしひざにはやわらかい感触がするしで 何かもう意識が持ってかれそうになるのを必死に食い止めた 「すまない、わがまま言って」 慧音は静かにそういった 「別にいいよ、そんな時もあるだろ」 「しかし、○○も悪いんだぞ、久しぶりのデートが釣りだし チルノの相手ばかりしてるし」 そう不機嫌そうに答えた 「そっか、すまんな。じゃあまた今度出かけようか? 次は慧音の行きたいところで」 すると慧音はうれしそうに頷き 「今度はちゃんと二人っきりになれるところでな」 そう答えた 「よし、じゃあ今日はもう帰ろうか?」 俺は巨大魚をあきらめそう言った 「いや、もう少しこのままがいい」 恥ずかしそうに慧音はそう答えた、 俺も異論はなかったのでそのまま慧音の体温を感じていた というわけで おしまい 7スレ目 642 彼女がそこにたどり着いたとき、それはもう手遅れだった 男はもう物言わぬ躯となってしまっていた 彼の名は○○、ワーハクタクの彼女が愛した男性だった 彼女はベッドに横たわる彼に泣きすがり、この事実を懸命に『なかったこと』 にしようとしていた しかしそれは叶わぬことだった、死者をよみがえらせることなどはできない それは彼女自身が最も理解していた、しかしそれでも一縷の望みを賭け 無駄だと理解している行為をやめようとはしなかった。 いややめることができなかった、止めてしまえば そのとき彼女は彼の死を受け入れてしまうことになる そしてその悲しみに自分の心がつぶされてしまうことが分かっていたからだ そうしているうちにどれだけの時間がたっただろうか 少なくとも彼女にはとても長い時間だっただろう 依然として彼は生き返ることはなかった、それは当然のことであった 彼女も理解せざる得なかった そして彼の死という事実も すでに彼女の精神は限界に来ていた、このままでは自分が悲しみ壊れてしまう そう彼女は思った そしてそうなってもいいかとも思った、彼がいないこの世に何の未練があろうか このまま狂ってしまうのも楽かもしれないそう思った しかしその時彼の顔が脳裏に浮かんだ そして自分がやらなくてはいけないことを思い出した それは人間を守ること 安全で平和な場所からきた彼は危険なこの世界に驚き そしてその危険から人間たちを守っている彼女の行為に賛同し協力してくれていた そんな彼のためにもこの精神状態から立ち直らなくてはいけなかった しかし彼の死はあまりに重かった、それは生前の彼への想いに比例していた 長い時間が過ぎ、彼女は決断した。彼との出会いを『なかったこと』にすること そうすることで自らの精神を保つことを 彼女は彼の顔近づけ口付けを交わした 「さようなら、○○。愛してる」 そして彼女は彼との思い出全てに別れを告げた
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慧音6 8スレ目 369 トランシーバーの副産物のような良く分からない状態のまま 俺は結局慧音の家に泊まることになった、まぁ何度かお世話になったこともあったし それほど構えてもいなかったわけだが そして夕食を食べ終え俺が今までのように毛布を借りようとしたとき 事件は起きた 「今日は同じ部屋に寝るぞ」 「……は?」 「だ、だから今日はここで一緒に…」 「本気か?慧音」 「だからさっき夜寝るときに何か話そうっていったじゃないか」 「ああ、そういうことか」 俺はかな~りアダルティなことを想像していたが単純にそれだけらしい 「ほ、ほら布団敷くから手伝え」 そう言って襖を開けて布団を取り出そうとしていた 「ん、これなんだ?」 襖から布団と一緒に何か転がり出てきた 「人形かこれ?」 それは人間の男をかたどった、なんていうか愛嬌のある人形だった しかしかなり良くできたものであることは俺でも分かった 「っ!!」 慧音は俺が掲げた人形を奪い取ろうとした 俺はそのまま渡しても良かったがなんとなく避けてしまった 「なんつーか、どっかで見たことある顔だな、コレ」 どうにもこの間抜け面には見覚えがあるんだよな なんか毎日顔を合わせてるような 「それは○○だ…」 「ああ~、俺かどうりで……ってマジ!?」 慧音は頷いた 「うあ~よく見ると確かに俺だな」 そう思うとさっきまでの間抜け面が急に凛々しく見えるような気もしたが 気のせいだった 「でもなんで俺の人形なんか?」 慧音は俯いたまま答えない なんか俺はいやな予感がした、なんとなく人形から連想する嫌なものが よぎった 「あのさ、これもしかしてアリスが作ったとか?」 「ああ…この前作ってもらったんだ」 と、ここまで聞いて俺は既に土下座していた 「すいませんでした!!」 「は?○○何をやって…」 慧音が何か言ってるが土下座続行 「すまん!つーかマジでそんなに怒ってるとは思わなかった!」 「いやだから…何を言っているんだお前は?」 「何って、慧音に謝罪をだな」 「謝罪って、何かしたのか?」 「いやだって俺の人形に釘刺すくらい怒ってるんだろ?」 「何の話だ?」 「だからアリスに俺の人形作らせたって…」 「作らせたが別に釘を刺すためじゃないぞ」 「マジで?」 「ああ」 俺は頭をあげて土下座を解除した 「はぁ~よかった、なんだよ、まぎらわしいぞ慧音」 「勝手にお前が勘違いしたんだろ」 慧音は呆れたように言った、そして 「で?○○、さっき謝ってたのは何故だ?また何かしたのか?」 「……」 「何をしたんだ?」 妙に怖い笑顔が近づいてくる 「黙秘権とかはなしか?」 「却下だ」 その後説教は一時間以上続いた 「はぁ~お前にはほとほと呆れてものが言えん」 「一時間以上説教してたが…」 「何か言ったか?」 「何にも言ってないゼ!」 「…声が裏返ってるが、まあいいさっさと寝るぞ」 そう言って布団を敷き始めた 俺も自分の分をやろうとしたが、少し疑問が残っていたので 聞いてみた 「なぁ、慧音結局あの人形はなんに使うんだ?」 「……」 「何に使うんだ?」 妙に紅くなっている慧音に追求した 「黙秘権とかはないのか?」 「却下だ」 夜はまだ始まったばかりだ 8スレ目 381・382 今日は七月八日七夕の翌日である、普通ならもう七夕は終わり 飾り付けられた笹もしまわれるたり焼かれたりするのだが、俺は笹をもって慧音を訪ねていた 「というわけで慧音七夕をやろう」 「何がどういうわけでそうなったかは知らんが、七夕は昨日やっただろ」 「昨日やったが寺子屋の子供たちとやったからすげえ忙しくて ぜんぜんゆっくりできなかったし、第一メチャクチャ雨降ってて星も見れなかっただろ」 昨日はそれこそバケツをひっくり返したという表現がぴったりの天気だった 「まあそれはそうだが」 「だろ?というわけで飾りつけ手伝ってくれ」 「しょうがないな全く」 そんな感じで俺たちは二度目の七夕をすることになったんだが 「なあ慧音は願い事は何書くんだ?」 「ん?ああ昨日書いたからもういらないだろ」 「そうか?せっかくもう一度やるんだからまた書こうぜ せっかくあまった短冊もらってきてるし」 そう言いながら俺は慧音に短冊を渡した 「願い事なんて欲張るとろくな事にならんと思うが…」 「まあ願うだけならタダだし、書くだけ書こうぜ 短冊がない笹も味気ないだろ」 慧音は呆れたような顔をしながらも短冊を受け取り 願い事を書き始めた 二人とも願い事を書き終え飾ろうとしたのだが 「○○はなんて書いたんだ?」 そう言って慧音がこちらの短冊を覗き込んできた 俺はとっさに短冊を隠して 「慧音こそなんて書いたんだ?」 と聞き返した 「私か?私は無病息災だ」 「なんつーか、慧音らしいというか普通だな、というか慧音って もともと病気になりにくいんじゃなかったっけ?」 「そうだが、私の近くにすごく無茶というかバカなことばかりするやつがいてな そいつの分も含めてだ」 「ふーん、誰だそれ?妹紅か?でもあいつ慧音よりも丈夫だろ?」 「お前自覚がないのか?」 「何が?」 「はぁ…もういい。それで結局お前はなんて書いたんだ?」 「それは教えられないな」 「私が教えたんだから、教えろ…っというか飾るんだから結局見るだろ」 そう言って俺から短冊を奪い取った 「ちょ…おい!」 「ん?二枚重なってるのか?○○願い事は欲張るとろくなことがないとさっき言っただろ」 「いや、それはどっちにしようか迷っているんだよ」 「何だ?そんなに願い事が多いのかお前は…」 そう言って慧音は笑っていたが願い事を読んで固まった 「どうした?慧音」 「この願い事はどういうことだ?」 すごく静かな声でそう言いながら俺が書いた短冊を示した そこには俺の二つの願いが書かれていた 一枚には 『このまま幻想郷で楽しい日々がおくれますように』 もう一枚には 『いつか自分の世界に帰れますように』 「まだ迷っていたのか…」 「まぁな、やっぱあっちの世界に未練がないとは言い切れないしな」 「そうか…」 慧音はそういうと俺の短冊を笹に飾りつけようとした 俺が帰れますようにと書いたほうをだ 「慧音何を…」 「明日神社に連れて行ってやる、うまくいけばお前の世界帰ることが できるかもしれない」 「は!?ちょっと待ていきなり何言ってんだよ」 「だから帰りたいんだろう!」 「いやだからまだ迷ってるんだよ!」 俺自身まだ踏ん切りがついていなかった、幻想郷に生きるにしても 元の世界に帰るにしても 「ならちょうどいい機会だ、今決めるといい」 「待てよ!いきなりそんなこと言われても…」 「どうせいつかは決めることだ」 「それはそうだが…」 いきなりのことに頭がついていかない 俺は黙り、慧音も黙って俺の答えを待っていた 少しの間沈黙が続き、俺は口を開いた 「ひとつだけ質問してもいいか?」 「…何だ?」 「俺が幻想郷に残った場合、慧音は傍にいてくれるのか?」 「は!?何を言って…」 「だから幻想郷に残った場合傍にいてくれるのか!」 俺はずっと迷っていた原因を慧音に聞いた 慧音は驚きながらも俺の目をまっすぐに見て 「…ああ、いいぞ。傍にいてやるとも」 と答えてくれた 「そうか」 なら迷いはなくなった 「慧音…俺はここに残るよ」 そう言いながら慧音の腕を引いて強引に抱きしめた 結構長い間そうしていたのだが、短冊吊るす途中だったので 作業を再開した 「なあさっきの短冊貸してくれ」 「ん?こっちを吊るすんだろ?」 そういって俺が幻想郷に残ると書いたほうの短冊を掲げる 「ああ、だけど少し書き直さないと」 「書き直す?」 「ああ」 そう答えながら俺は受け取った短冊に少しだけ書き加えた 『このまま幻想郷で慧音と楽しい日々がおくれますように』 8スレ目 384-385,388,392,394,404,412,421 384 :名前が無い程度の能力:2007/07/09(月) 01 22 18 ID ujTdlG1w0 慧音が溢れちゃいそう!なんて嬉しい悲鳴。 385 :名前が無い程度の能力:2007/07/09(月) 01 36 33 ID ujTdlG1w0 分が抜けた。慧音分ね。 …どんな状況なんだ。 388 :名前が無い程度の能力:2007/07/09(月) 12 12 49 ID OVenZwtI0 385 ちび慧音がポコポコと涌いて溢れるとか 392 :名前が無い程度の能力:2007/07/09(月) 15 33 27 ID 0.UsN4d2O 388 チビけーねがポコポコ腕振り回して「◯◯のバカー!バカー!」している、に見えた ちょっと吊ってくる 394 :名前が無い程度の能力:2007/07/09(月) 19 55 08 ID 0ixxGnI60 392 満月の時はきもけーねになって 新月になったら幼女になるんだな 404 :名前が無い程度の能力:2007/07/10(火) 01 23 30 ID Weh6KDSQO 394 つまり、いつもはしっかり者で姐御肌な慧音先生で 満月時は愛しの人に角を見られるのを恐れる奥手なきもけーねで 新月時は純粋無垢の好奇心旺盛なょぅじょけぃねでFA? 412 :名前が無い程度の能力:2007/07/10(火) 15 22 12 ID mAhjnMjg0 404 つまりはこういうことか! 通常時慧音場合 慧「ほら、いつまで寝てる気だもう朝日はとうに昇ってるぞ」 ○「ん~~?ああ、慧音かおそよう」 慧「まったく……朝飯はできてるから早く食うぞ この後私は寺子屋に行かないといけないんだからな」 ○「先に食ってればいいじゃん」 慧「ま、○○と一緒に食べたかったんだ////」 ○「慧音……ありがとな」 慧「ほ、ほら早く食べるぞ」 ○「ん、いただきます」 きむけーねの場合 慧「………………なあ○○」 ○「ん?どうした慧音」 慧「いや、なんでもない」 ○「そうか」 慧「………………………………」 ギュゥ 慧「ま、○○!?」 ○「安心しろ俺はずっと慧音と共に在るから」 慧「……ありがとう○○」 ○「ありがとうを言うのはこっちのほうだよ」 ようじょけーねの場合 慧「○○!○○!」 ○「あ?どうした慧音」 慧「○○はわたしのことすきか!?」 ○「ああ、大好きだぞ」 慧「そうか!ならちゅーして!」 ○「ちゅ、ちゅーは大きくなってからだ」 慧「むぅ~、ならおよめさんにして!」 ○「それも大きくなってからな!」 慧「○○はだめだめっていうー○○はわたしのこときらいなの?」 ○「それはないまずない絶対ない」 慧「そっかー、じゃあ愛してる?」 ○「ああ、愛してるぞ」 慧「じゃあ抱っこして」 ○「それならいいよ」 慧「わーい!」 421 :名前が無い程度の能力:2007/07/11(水) 09 46 54 ID pUWIVUG6O 412に続いてみる 新月の夜 慧「ねー◯◯!◯◯!」 ◯「おぅ、どうした慧音。」 慧「けっこん、てなーに?」 ◯「んーそうだな。愛し合う二人がずーっと一緒にいること、かな。」 慧「そうなんだ!じゃーわたしも◯◯とけっこんするー!」 ◯「それはうれしいな。慧音、俺の嫁さんになってくれるかい?」 慧「うん!」 そして次の日 慧「ま、◯◯!あのな、昨日言っていたことはな、なんというか幼体での無垢な願望というか日頃心に留めているというか 私も白無垢着てみたいなーとかそういうものではなくてだな、言葉のあや…ではなくて いやお前と結婚するのがイヤな訳ではない!」 ◯「ときに落ち着け慧音(ニヤニヤ)」←確信犯 そんなやり取りが月一でやっとるそうな 8スレ目 475 「なぁ慧音、ホッケーマスクの殺人鬼知ってるよな?この間教えたもんな」 「それがどうした○○、確かに今日は13日の金曜日だが幻想郷にあんな妖怪はいないぞ」 「いや、適役は目の前に、後はマチェットとホッケーマスクで完璧」 ごすっ! 「額が!額が割れた!!」 「デリカシーが無い奴、だからもてないんだ」 「いいジャマイカ!せっかく13日なんだぞ!?不吉なんだぞ!?」 「いやいや、それは喜ぶべき事じゃ無い」 「・・・仕方ない、殺人鬼に追っかけまわされるよりベットでギシアンしてるカップルのほうがいいな」 「ぎしあん?なんだそれは?」 「気にするな、覚えなくて言い単語だ、ほんとにやるとほんとに出そうだな」 「?さっきからわけのわからないことばかり」 「慧音!俺とギシアン、じゃ無かった、不吉な夜のデートをしよう!」 「で、デート!?私と○○で?夜の人気の無い森へ?」 「うむ、山のほうに行って月でも眺めようか」 「結構冷えるな、もう一枚羽織ってくればよかった」 「だから言ったろ?ほら、これ着とけよ」 そう言って○○は慧音に自分の上着を着せる 「す、すまない・・・暖かいな」 思った以上に明るい、夜だが妖怪の気配も無い 「・・・こんな暗がりに連れ込んでどうするつもりだ?」 「どうした慧音、襲って欲しいか?」 「ば、ばか!そんなことは・・・そんなことは」 「襲っちまうぞ~」 「そ、そこまで言うなら・・・私は」 そう言って慧音は頬を赤らめつつ服を脱g 8スレ目 525 慧「なあ○○、ちょっと聞きたいことがあるんだがいいか?」 ○「聞きたい事ってなぁに?けーねーちゃん?」 慧「その・・・だな、妹紅と私どっちが好きだ?」 ○「んー、もこたん!」 慧「っ!?・・・なんでだ?」 ○「お菓子くれるからー!」 慧「そうかではもう一度聞こうか 妹紅と私どっちが好きだ?」←お菓子をあげつつ ○「けーねーちゃん!」 慧「そうかもっとお菓子をあげよう」 ○「わーい♪けーねーちゃん大好きー!」 ~その夜~ 妹「ねえ慧音」 慧「ん?なんだ妹紅」 妹「昼間の見てたんだけどさ、情けなくない?お菓子で釣るなんて」 慧「も、妹紅もやってるだろう!?」 妹「私は下心ないし」 慧「むぅ・・・分かってる、みなまで言うな でも!それでも!○○に大好きと呼ばれたいんだ!!」 妹(・・・今度永遠亭にでも連れて行こうかな) 8スレ目 545 いつもどおりの午後、そろそろ日も暮れてきて そろそろ慧音のところに夕飯をたかりに行こうとしていた時 その闖入者は現れた 「うぉわ~~~~~!」 ドカドカーーーン!!! 「どうした!?○○」 この間約3秒、その3秒の間に 俺が悲鳴あげる ↓ 慧音が悲鳴を聞きつける ↓ 壁吹っ飛ぶ ↓ 慧音登場 という事態が起きた 「どうしたんだ!?○○」 驚いていて言葉を失っている俺にもう一度聞いてきた 「……あ、ああ、ちょっと驚いただけだ」 「そうか?あの悲鳴は尋常じゃなかったが…」 「まぁ、どちらかというと今の慧音の登場に驚いたんだが……」 いくら隣に住んでるからって壁ぶっ壊して飛んでくるとは思わなかった 「お前が何か困ったら助けてやると、前に言っただろう?」 と自慢げに言った 「確かにそんなことを言ってたな」 俺は幻想郷に来たときに慧音に助けられてから慧音の家に 居候させてもらっていたが、ある事情から隣に自分の家を作り 住むことになった、そのときに慧音は反対したのだが結局は俺の意見を尊重してくれた その時に 『何か困ったことがあったらすぐに呼ぶこと』 と言う条件を出していた。 まぁこんな風に壁ぶち抜いて登場するとは思ってもみなかったが 「で、結局何があったんだ?」 「ああ、そいつだ」 そう言いながら俺は壁に張り付いている奴を指差した 「そいつってこのムカデか?」 「……そうだ」 「○○は虫が苦手だったか?」 「いや基本的には大丈夫なんだが、ムカデだけはちょっとな……」 子供の頃に刺されてから軽くトラウマだ 「そうか、まぁなんにせよ、お前に別状がなくてよかった」 慧音は壁にあいた穴にムカデを追い出しながら言った 「しかしな慧音、壁をぶち壊すのはどうかと思うぞ」 「し、しかたないだろう……○○の悲鳴が聞こえた時には もう飛び出してしまっていたんだから」 「それでお前の家の壁も俺の家の壁もぶち抜いて来たと」 「そ、そうだ」 まぁ俺が悲鳴挙げたのは事実だしな 「とりあえず、ありがとな慧音」 「あ、ああどういたしまして」 「だけど次からは玄関から入ってくれ」 「……わかった」 「とにかく壁をふさぐぞ、このままじゃ風邪を引くし、ムカデがまた入ってきても困る」 「ああ、そうだな」 そしてとりあえず応急処置として壁をふさごうとしたのが 「なぁ○○」 「何だ?」 「この穴そのままにしておかないか?そうすればすぐにこっちにこれるし」 「却下だ」 「ならもういっそのこと渡り廊下のようにしてだな……」 「却下」 「……」 その後なぜか機嫌の悪くなった慧音に夕食を作ってもらうのに 二時間かかってしまった 8スレ目 567 「というわけで妹紅からのラブレターを渡してきたんだ」 「ふーーん、●●も苦労するな」 あの二人は顔合わせると喧嘩してしまうみたいだしな 「まあ、今回一緒に祭りに行く事でうまくいけばいいんだが」 「大丈夫だろ?あいつらなんだかんだで両想いだと思うし」 「確かにな、全く早く素直になればいいものを」 「……慧音が言うのかそれを」 「わ、私はいつも素直だぞ」 「ほう、そうかそうか」 「な、なんだその言い方は」 俺は鞄の中から一冊の本を取り出した 「何だそれは?」 「これはだな、俺の日記帳だ」 「は?」 「俺は物忘れしやすいからな、結構細かく書いてるんだ、コレ」 「ほ、ほうそうなのか」 明らかに動揺している 「コレによるとだな、慧音が結構素直じゃなかったことが書かれてるんだ」 「……」 「例えばだな、俺が妹紅やらチルノやらの相手してて不機嫌だった時に 素直にどこかに連れて行け言えなかった事とか」 「あ、あれはだな」 「例えばチルノについたご飯粒取ってやったときに自分も取ってほしくて わざとご飯粒くっつけてたこととか」 「……気づいてたのか?」 「いや気づくだろ、あんだけ大量にくっつけてれば」 「なら取ってくれても良かったじゃないか!」 「いやどんだけ増えてくか気になってな」 確か最終的にはかなりの量になってたな、まぁスルーしたが 「…○○、お前というやつは」 慧音が非難の目を向けてくるがかまわず続ける 「その日は確か夜になって膝に……」 「ちょっと待て、分かったからもうやめろ!」 さすがに聞いてられなくなったのか慧音が俺の口をふさごうとした 俺はそのまま慧音の背中に手を回して目をまっすぐに見て言った 「じゃあ、今日は素直になってもらおうかな?」 「な、何!?」 「さっきの手紙の話を俺にしたことから推測して、何か言いたいことがあるんだろ?」 何が言いたいのか俺は大体分かっていたがあえて問いただした 「…っ!」 「慧音は素直なんだろ?」 そう俺が言うと慧音は顔を真っ赤にしながら 「……×月×日の夏祭り一緒に行こう」 と小さな声で言った 「了解した、金魚すくいでも射的でも何でも付き合うぞ」 俺がそう答えると慧音はうれしそうに頷いた 8スレ目 579 「あーマジで冷たくて気持ちいい」 「ちゃんと約束は守ってよ」 七夕も終わりだんだんと夏が本気を出してきた今日この頃 俺はあまりの暑さにチルノを捕まえてきて縁側にいた 今度また遊びに付き合うということで涼をとらせてもらっていた 「わかってるって、蛙の沼でも湖でも付き合うよ」 実際この季節にチルノと行動を共にするのはこっちからお願いしたい まぁ冬はマジで死にかけるが 「あとまたアレ持ってきてよ」 「アレってこの前の弁当か?」 「そう!」 「ああ、それなら慧音に頼まないと無理だ」 「じゃあ、頼んでよ」 「頼んでみるけど、保障はできないな」 「え~~!?」 「まぁ無理な時は俺が作ってやるよ」 「○○が!?」 チルノがすごく意外な顔をした 「自炊してたし結構料理は得意だぞ、まぁ今は慧音が作ってくれるし めんどくさいからやらんがな」 「ふ~ん」 「あーーっと、これは慧音には言うなよ、なら食事を作るの手伝えって なっちまうからな」 そんな風に冗談めかして言うと 「そうだな、今度からは○○に食事を作ってもらおう」 部屋の中からすごく聞き覚えのある声が聞こえた 俺は振り向かずに、いや振り向けずに 「あ~~慧音、帰ってたのか?」 「ああついさっきな、全くお前というやつは……」 「あははは……」 「○○、明日から一週間は食事当番だ」 「うわ、まじか?」 「もちろんだ」 「……はぁ、めんどくせぇな」 「なんか言ったか?」 「なんも言ってないぜ?」 「何で疑問系なんだ……」 はぁ、なんかすげぇ墓穴掘ったな、なんかまた暑くなってきた気がする 「なぁチルノ?」 「なに?」 「ちょっと失礼」 そう言ってチルノを持ち上げて膝に乗っける 「わ!?」 「ああ、やっぱこうしたほうが涼しいな」 「な、○○何やってるんだ!?」 慧音があわてたような声を出す 「ん?こっちのほうが涼しいぞ」 「そ、そうじゃなくてだな」 「別にチルノも構わないだろ?」 「ん、別にいいよ。びっくりしたけど」 「だってさ」 「うぅ~……」 なんか納得いかないことでもあるのか慧音は不満げの顔をする 「どうしたよ?」 「なんでもない…」 ここで俺はなんとなく何が不満なのか気づいた 「ああ、そういうことか!」 「っ!」 俺がそういうと何故か慧音は紅くなった 「慧音も涼みたいんだろ?」 「は?」 「ほらほら、遠慮するな」 そう言って俺は慧音を縁側に手招きする 「お前は鋭いんだか、鈍いんだか……」 「は?」 「いやもういい、じゃあ遠慮しないぞ」 と、なんか引っかかるようなことを言いながらこっちに来る 「あの~慧音さん?」 「何だ?」 「何で慧音さんまで膝に座りやがるデスか?」 「遠慮しなくていいんだろ?」 「そうは言ったがな、しかし……」 「……だめか?」 そんなことを言いながらこっちを上目遣いに見てきた この時点で 「……だめじゃねえよ」 と答えるしか俺には選択肢はなかった その日はなんかチルノが近くにいるのに物凄い暑い日だった 8スレ目 629 「今帰ったぞ。…聞いてくれ○○、この暑さのせいなのか皆少しおかしいんだ。 なにが、とは言わないが……○○? いないのか…?」 「……………………」←床に突っ伏してる 「○○…っ! おい、返事をしろ○○! ……くそっ、熱中症か!?」 「……………………」←面白そうなので無視を決め込む 「永琳に連絡して……いや、それよりも身体を冷やす方が先か……!」 「……………………(汗」←ちょっと展開がおかしいぞ 「ええと、熱中症のときは服を脱がせて腋の下を冷やすんだったな」 「……………………(汗(汗」←やばい、やばいぞ。何かがやばいっ! 「……ちょっと待て……。ここのよりも風呂場のほうが冷たいんじゃないか……?」 「……………………(汗(汗(汗」←何でそんな展開になるっ! 「うん、よし。○○……私が助けるからな…………」←○○を担いで風呂場へ入ってゆく 「……………………(汗(汗(汗(汗」←誰かー! たーすーけーてー! 「あーーーーーーーーーーーーー!!!!」 その数分後、○○の悲鳴が夏の空に飲み込まれていったそうな。 「ったく、悪ふざけが過ぎる!」 それを聞きながら慧音氏は濡れた服を着替えたそうな。 9スレ目 493 「○○どの~ご在宅か~?」 響く声、一人の少女が家の中に呼びかける、返事はない 「鍵もあいているじゃ無いか・・・もしかして裏か」 勝手に家に上がる、しかし靴は持っていくらしい 家の中を真っ直ぐ進むと裏口、其処で靴を履き、扉を開けた 「ん?ああ、先生でしたか」 「やはり裏にいたか、探したぞ、数分」 「ははは、すいません」 桶、のようなものを洗う男、どうやらこの家の主のようだ 「何か掃除か?」 「ええ、こいつらの家ですよ」 そう言って男が指差したのは色とりどりの綺麗な、金魚 「おお、あんなに黒かったのにずいぶん綺麗になったものだな」 「今年は色変わりが早かったですから、もう完全に色が変わってますよ」 「・・・綺麗だな」 「ありがとうございます・・・その子達も喜ぶでしょう」 掃除を終えたのか桶を壁に立てかけ、群れた手を拭いた 「それで・・・今日は何か用ですか?」 「い、いや、金魚たちがどうなったか気になって・・・身に来ただけ・・・だ」 男は嬉しそうに笑った、少女も、笑った 「ん?この金魚背びれがないぞ?顔も何か違う?」 「ああ、それはランチュウといって・・・・・・」 それから男の金魚話が続いた、長くなったのでカットカット 「なるほど・・・そうなのか、じゃあこの種類は・・・」 金魚の勉強、変な話だが彼女にとってこの話は面白いらしい 何処で生まれ、どうやって改良され、そしてこれからは ぶっちゃけ染色体がどうの色素変異がどうのってのは全然わからないが、先生はそっちの方が詳しいみたいだ 「先生、日が暮れてしまいます」 夕焼けに染まる風景、全て等しくなるように、暗闇の前触れに 「ああ・・・その・・・また来ても良いかな」 「はい、先生が来るのを心待ちにしています」 「そ、そういうのじゃなくて!き、金魚に、金魚に会いに!金魚を見に来るんだぞ?」 「ふふ、そういうことにしておきます」 「だ、だからだな、そういうのじゃなくて!」 夕焼けは短い、故に美しいのだろう 彼女と話す時間は夕焼けのように短いかもしれない、でも 「お、綺麗だねぇ」 夕焼けの中、金魚だけは自らの色を持ったまま、輝いていた 11スレ目 336 「おや、○○」 「ありゃ、慧音さん」 甘味処で、ばったりと彼と遭遇してしまった 「こんなところで会うとは奇遇だな」 「そうですね、先生が餡蜜を食べるのは驚きですよ」 「何を言う、私とて一応女子だぞ、甘味を欲するときもある」 私が甘いものを食べるのは以外、か・・・正直あまり嬉しくはないな 私だって甘いものは好きだ、妹紅は「慧音は甘いもの喰っても胸にいくからいいよね」なんて言うが・・・ 「俺は授業してる先生も餡蜜食べてる先生も可愛いと思いますよ」 「!げほげほ、そ、そういう冗談は止めてくれ」 いきなりへんなことを言うものだから粒餡の粒が気道に入ったじゃないか だいたい以前から何かとつけて可愛いとか綺麗とか、心にも無いお世辞ばかり 私はそんなによい女ではない、それは自分が一番解っている 「冗談じゃ無いのになぁ・・・お、餡蜜」 私の餡蜜のすぐ後に彼のものも運ばれてくる 私は彼の戯言を聞き流してしらたまを食べた、幽霊に似ていると思った そういえばあの娘の傍らの幽霊もなかなかどうして美味そうだな・・・ 「あ、美味し・・・」 なかなかいい餡子を使ってあるな、やはりあんこは粒餡だな、皮の風味と触感が・・・ にやにやとこちらを覗く○○が目に入った 「・・・なんだ?にやにやして」 「いや、慧音さんが凄く幸せそうにしてるから、女の子らしいなぁ、なんて思ってました」 「なっ!そ、そういうことは・・・なあ○○、私も一応女だ、そんな事ばかり言われるとその・・・勘違いや期待をしてしまう」 「いや・・・はぁ、鈍いにも程がありますよ、それとも俺はそんなに軽薄に見えますか?」 互いに全然食べれていない、私も彼も半分ほどで止まってしまっている いつの間にか話すほうが主になって 「先生、右向いて」 「え?あ、うん」 いきなり右を向いてと言う指示、意図は解らないがとりあえず従ってみた 「えい」 頬に柔らかい感触、すぐに解った だって彼の顔がこんなにも近くにあるのだから 「な、な、ななななな」 机をこえて、私の頬にその・・・ちゅうを 「・・・流石にいきなり唇はだめかなぁと思って」 「(いきなりの出来事に処理落ち)」 「慧音さん、俺の気持ちわかってくれますか?」 「い、いや、解らない・・・ちゃんとこっちに」 自分でも何を言ってるかわからない、ただ客観的に暴走してるなぁなんて思っていた 「んっ、んーぷぁっ」 「・・・慧音さんの唇・・・餡子の味がしますよ」 「はは、それは君のも同じだ」 「・・・時に先生、時と場所と時間、さて、ここは何処でしょう」 「え・・・アッー!」 ほとんどの客が私たちを見ていた そんなことにも気付かないほど油断、いや、彼ばかり見ていたということか 「~ッ!」 「慧音ッ!」 恥ずかしすぎる 席を立って店の外に逃げ出そうとしたのだが、彼に手をつかまれ、阻まれた 「まだ餡蜜が残っています、もったいないです」 「え、あ・・・そ、そうだな」 他の客の視線とざわざわという話し声 店を出るまで恥ずかしくて顔から火が出そうだった 「慧音・・・俺は帰るけど・・・ええと・・・また明日」 「あ、ああ・・・ま、また明日!」 帰路に着く彼を見送って、私も帰ることにした 帰ったら妹紅に冷やかされるだろう、私の頬は自分で解るぐらいに緩みっぱなしだ また明日、この一言がこんなにも嬉しいとは思わなかった、きっと私は有頂天と言う奴なんだ 「あ、さっき餡蜜屋で・・・」 小さい声だったがしっかりと聞こえた、聞こえた私は思い出して悶えた …狭い世界だ、そういうこともあるさ・・・きっと噂が広まるのは早いだろうなぁ・・・天狗が好きそうなネタだなぁ しかしあの恥ずかしい出来事を消してしまいたいとは思わなかった、だって恥ずかしい以上に嬉しくて素敵な出来事もあったのだから 11スレ目 483 「おい、○○。起きろ、朝だぞ」 ゆさゆさと揺さぶられる感覚。 「んー……あと5分だけお願いします」 「……」 「あと…5…f…Zzz……」 「あくまでも起きないつもりか。ならば……」 頭を両手で包まれる感触。 撫でるような力加減に眠り心地も最高潮。 しかし甘かった。 俺はコイツの特技を、すっかり忘れていたんだ。 「てい」 ごす、という音と共に額に襲い来る激痛。 お星様が見えたのは気のせいじゃない。 「ッ!!!!」 「起きたか。そろそろ朝御飯の支度も仕上がる。 着替えたら来るといい」 涙目で額を抑えている俺とは対称的に、慧音の顔は涼やかなまま。 くるりと踵を返すと、彼女はそのまま台所へと向かっていった。 まだ少しジンジンと痛む額をさすりながら思う。 里の寺子屋では宿題を忘れる子どもたちには正義の鉄額が見舞われるという噂だが。 ……正直あの威力は勘弁願いたい。 枕元に置いてあった懐中時計を開けて時間を確認する。 ……嗚呼、結構ギリギリじゃないか。 意識を一息で切り替え、仕事着に手を伸ばす。 冬の冷え込みも本格化しつつある今日この頃。 本当なら布団の中でゴロゴロしていたいのだが、そんな事をやった日にはこの家から追い出されかねない。 いそいそと着替えを済ませ、井戸水をくみ上げて顔を洗う。 凍りつくような冷たさが、僅かに残っていた眠気をキレイに消し去ってくれた。 手ぬぐいで水気を拭いながら、居間へと歩き出す。 程無くして味噌汁や焼き魚等といった典型的な朝ごはんの匂いが漂ってきた。 ちらりと台所を覗けば彼女が鼻歌交じりで味噌汁の味見をしている。 普段のお堅いイメージとは随分かけ離れたものではあるのだが…… (多分知ってるのは俺だけなんだよなー……) もうちょっと愛想よくすれば男衆からは絶大な支持を得られるだろうに、という所まで考えて (ああ、でもそうすると独り占めできねーや。却下) 思い浮かんだ情景を手で振り払う。 ご丁寧に毎朝玄関に放り投げこまれている(どこから入れに来るんだろうか)新聞を開きつつ、ご飯の完成を待つ。 「何々……今日は外界では"クリスマスイブ"とよばれる聖夜であり……」 ゴシップ感溢れる新聞から要点だけ抜き出すと ・今日は年に一度の特別な日(の前夜) ・本来はどこかの国の聖人様がどうたら ・今となっては恋人たちの祝宴の日だったり ・子どもたちには赤い洋服を着たサンタさんが贈り物を ・特別な人にプレゼントなどいかがでしょうか ・取材情報は私、射命丸 文まで。 ……ということらしい。 「……はぁ」 溜息と共に新聞を閉じる。 何を隠そう、このクリスマスという知識を持ち出したのは俺だからだ。 スキマ妖怪の紫に頼んで一度外界をブラついた時……確か十年くらい前のこの時期だったか。 やたらと華やいだ祭のような雰囲気が気になり、外界の蔵書を読み漁り…… 「持ち帰った知識をあの烏天狗に教えるべきではなかったかな」 もう一度、溜息をつく。 本来あのブン屋にはそういった大衆的な事の他にも、クリスマスの歴史や伝承なども伝えていたハズなのだが。 ここはもうさすが、と感心する所なんだろうか? 「どうした、朝から疲れた顔をして」 そうこうしている内に、鍋やら櫃を台車に載せて慧音がやってきた。 「ああ……アレみりゃわかるよ。俺の数少ない汚点かな」 苦笑いをしながらよそわれた茶碗を受け取り、顎をしゃくる。 新聞のめぼしい場所は読み漁ってしまったので慧音の所に放ってある。 「クリスマス……か。確か下界の聖人の生誕日だったか?」 「さすがだな。昔一度話しただけだったハズだが」 「私を甘く見ないでくれ……というのは冗談だがな。 紅魔館の連中はお前が伝聞するよりも前から似たような事をやっていたよ。 もっとも、昨今持て囃されるようなものではなく、随分と厳かなものだったが」 「へぇ……確かあそこの領主は外界の貴族の血を引いてるとかって話だしなぁ。それの繋がりかね」 「ま、それはさておき、メシだメシ」 「ああ、そうだな。教える側が遅刻するようでは面目が立たんぞ、○○」 「わーってるよ……いただきます」 「いただきます」 「……となるから、この掛算を使うわけだ。わかったかー?」 「はーい!」 「それじゃあ、こことここと……この問題やっとけ。 解けた奴は休憩しててよし。ただし、あんまり騒ぐなよ?」 生徒たちに課題を適当に与えた後、廊下に出る。 少し前から、"その日の最後の授業"を俺が受け持つことになっていた。 それを知ってか知らずか、子供達は比較的真面目に取り込んでくれている。 「慧音ー、そろそろ終わりにするから帰る支度を……」 カラカラ、と控え室の戸を開け「うわっ!?」 ……見なかったことにしよう。 カラカラ、と戸を閉めようと「待て、待ってくれ!」 控え室に強引に連れ込まれた。 「……で」 「……」 「これは一体どういう了見なのかな慧音さん」 「こ、これは……クリスマスだし」 控え室のイスに座って一対一で面と向かって座る。嗚呼、何だか尋問みたいだ。 俺の目の前でしおらしくなっている慧音は……何故か真っ赤な服にヒゲと帽子をつけていた。 まさか慧音がこんなマネをするとは思ってもみなかった。 「……その、子供達が、喜ぶと思って……」 恥ずかしそうに俯いたまま、指をもじもじとする慧音。 「そういうことなら俺にも少しくらい相談をしてくれたっていいじゃないか」 俺だって教師の一人なんだぞ、と頬を膨らませる。 「す、すまない。話そうとは思っていたのだが……○○はこんな格好をするの、嫌だと思ってな」 「ああ……なんだ。そういう事か」 確かに俺はそういう面倒事は嫌いだが…… 「子供達の為ならやぶさかではない。……ということで」 「何だ?」 「その服一式を寄越せ。俺も着る」 「ほ、本当か!?」 「男に二言はないんだぜ?」 「そうか……よし、待ってろ。もしもの事を思って二人分用意して……」 いそいそと荷物を漁る慧音の顔は、とても嬉しそうだった。 「それじゃ、いくぞ」 「ああ」 子供達のいる教室への戸を勢いよく開ける。 「いい子にしているかな!? 子供達」 「おじさん……誰?」 「私かい? 私は"サンタクロース"というんだ。 いい子にしている子供達に年に一度、プレゼントをあげているんだよ」 ……ちなみに喋っているのは俺。声色を変えてしまえばどうとでもなるものである。 さすがに慧音が声を変えてもバレるので、彼女は俺の後ろで黙っている。 「プレゼント?」 「そうさ。今日は頑張って勉強している君たちにプレゼントだ。ほれ」 慧音があらかじめ用意していた袋から、菓子の詰まった小袋を取り出す。 子供達一人一人に手渡しをしていく。 反応はそれぞれ異なるが、皆嬉しそうだ。 「ありがとう、サンタさん!」 「ほっほ。これからもいい子でいるんだぞ?」 「はーい!」 「それから、○○先生と慧音先生からの伝言だ。 今日はもう終わりにしていいとさ。気をつけて帰るようにな」 「いいの!?」 「ああ。また明日、だそうだ」 わー、と歓声を上げながら、出ていく子供達を見送る。 両手には大事そうに小袋を抱えていた。 「……行ったみたいだな」 「そうだな。でも良かったのか? まだ授業も途中だったろうに」 「構わないさ。これくらいなら明日にでも取り戻せる」 「それならいいのだが……と、そうだ」 控え室に戻り、更に荷物をごそごそと漁る慧音。 「コレは○○の分だ」 ふわ、と首にかけられたモノ。 もこもこしていて、あたたかい。 「マフラー……か。これ、お前が?」 「何だ、私が編み物をするのは意外か?」 「いや、ありがとう、大事に使わせて貰うよ。しかし……困ったな」 「どうした?」 「折角いいものを貰ったのに、俺からお前に渡すものが……」 「渡すものが?」 「ないわけでも、ない」 右手にいつも嵌めていた指輪を、外す。 「それは……」 「指輪だよ」 「大事なモノなんじゃないのか?」 「大事だよ……だからこそ、意味があるのさ」 かちり、と音を立てて、二つに分離した。 「これ、俺の両親が使っていた結婚指輪なんだ。 ちょっと古びているのがアレだが……片方は、お前に嵌めてほしい」 す、と慧音に差し出す。 「え……」 予想外だったのか、困惑気味の顔。 「駄目か?」 「とんでもない! ……その、私なんかで、いいのか?」 「ああ。慧音だからこそ、受け取ってもらいたい」 「…本当に?」 「……まったく」 まだうろたえ気味の慧音の身体を抱きよせ、唇を重ねる。 驚きに目を見開き、顔を赤く染めながらも、彼女は抵抗をしなかった。 「んっ……」 「……これでもまだ、不安かな?」 「い、いや。ただ……もう少し、私を後押しさせる言葉をくれないか」 「……一緒に居て欲しい」 「まだ足りないよ」 「好きだ」 「まだだ」 「……愛してる」 「私もだ……」 再び、口づけを交わす。 「不束者だが……よろしくお願いするよ、○○」